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2009年2月5日(木曜日)

傾いた喫茶店よ永遠に(2)

カテゴリー: - naddist @ 12時00分11秒

閉店したレードルのマスター曰く、
「どうせ捨てるねんから、店のものでいるもんあったら持っていってな」
閉店したとはいえ店内にはまだレードルの残り香がたくさん残っていた。
マンガも旧式の冷蔵庫も古いランプシェードも、けなげに客を待っているかの
ように佇んでいた。

僕はマッチをもらった。
レードルではなく「ミニ」時代の貴重なものだ。
ちゃんと傾いた建物が表現され、しかもミニの「M」の文字が建物のシルエットに
なっているところなどなかなかのデザイン。
喫茶店と言えばやはりマッチはつきもの。
これで火をつければまるでマッチ売りの少女のごとく、マッチの暖かい炎とともに
レードルの煮込みハンバーグや甘辛カレーが現れるかもしれない。
いや、まてよ。
もっと多くのクミンとレードルの記憶を共有できないだろうか?
そして小さなプロジェクトを思いついた。
その小さなプロジェクトとは
「リメインダーズ・オブ・ザ・レードル・サクセション(レードルの残り物の継承)」
コードネーム「RLサクセション」である。

まずは旧灘温泉の番台のリユースで実績のあるチンタのマスターに声をかけた。
1月4日に畑原市場にあるチンタ宵酔食堂はチンタ本店としてリニューアルオープンした。
本店があるのなら支店はどこなのか?などという無粋な詮索はここではやめておこう。
店内のインテリアも、以前の立ち飲み風の高いカウンターからゆったりとくつろげる
タイル張りのカウンターへ大きく変わった。
このニューチンタのカウンターに、閉店したレードルの椅子が組み合わされた。
そう、現在レードルの椅子は畑原市場にあるのだ。
座ってみた。
ああ、この感触。
レードルの椅子だ。
固くもなく柔らかくもなく。
奇をてらう事なく、客を支えてきた
永遠の六甲道の椅子が、今水道筋の酔客の体を支えている。
ピカピカの六甲道では行き場を失った椅子を、水道筋は優しく迎え入れた。
まるで前からここにあったかのように。
チンタに様子を見に来たレードルのマスターがぽつりと言った。
「面白い場所や、水道筋は」

もう一つ、レードルものが水道筋にある。
チンタからほど近い畑原東商店街のスタンドモンク。
この店のステンレス製の水差しもレードルから譲り受けたもの。
あの特辛カレーにはかかせなかった水差しである。
長い間の使用で年季の入った業務用の水差しが暗い店内で鈍い光を放つ。
モンクのカウンターは旧灘温泉の番台のリユースだが、あらたに灘の老兵が加わったことになる。
「長い間ご苦労でしたな」
「いやいやおたくほどでもないですわ」
カウンターと水差しの会話が聞こえてくるような気がした。

歴史をムダにするのは実にもったいない。
かつての記憶を今の街で生かしていくこと。
ノスタルジックに浸るだけでなく、新たな物語を積み重ねていくこと。
記憶のリサイクルと言ったら言い過ぎだろうか。
こうしてレードルの記憶の一部は、水道筋で生き続ける事になった。
そしてRLサクセションプロジェクトはまだまだ始まったばかり。
モノだけではなく味も継承したい。
そう、次はカレーだ。(続く)


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