摩耶山の紅葉が最盛期を迎えると、灘は鍋の季節を迎えます。
これから忘年会を控え、様々な鍋を食べる機会もあるでしょう。
もちろん灘の市場にも様々な鍋の素材がならびます。
外でみんなでワイワイ食べるのもいいですが、市場の旬の素材を買ってきて
家の小ぶりの鍋で灘酒を一献やるのも灘クミンの楽しみでもあります。
「ハイ、パパお疲れさま」
「おお、今日はてっちりか~!」
「今日、畑原市場でおいしそうなふぐがあったから買っちゃった」
「お、揖沢さんのの泳ぎふぐか!たまにはいいよなぁ」
「そ、ボーナス出たし、ちょっと贅沢しちゃった!ねー摩耶ちゃん!」
「うん、今年はサンタさんに諏訪子の大っきなぬいぐるみお願いしよっかな~」
「おお、諏訪子のぬいぐるみか、今年は諏訪子さんにも孫が生まれたしな。
摩耶も弟欲しいかい?」
「うん、摩耶、弟が欲しい!」
「そっか、じゃあパパもモモジみたいにがんばっちゃおうかな~ねえママ」
「もうやだ、パパったら」
「アハハハ…」
こんな年末の会話を聞いて、
「うるせぇ~、ど~せオレはボーナスなんて出ないし、
ふぐなんて買えないし、金蛇精も買えないし」
なんて思ったそこのアナタ。
そんあアナタにも灘の市場は優しいのです。
きっと魚屋さんに「ハゲちり」を薦められますよ。
ハ、ハゲ散らかすだと!? 何を無礼なっ!!
なんて怒っちゃだめですよ。
ハゲちり、つまりカワハギのちり鍋のこと。
カワハギもフグと同じフグ科の魚。
これでちり鍋すると、これがてっちりに負けない
とても上品な鍋になるのですよ。
特にキモ。
この時期、カワハギはキモが美味くなります。
あんきもよりもクセがなく程よい濃厚さ加減が絶品。いやホント。
コクのあるキモで、きゅっと熱燗を…。
ああ、市場の近くに住んで良かったと思う瞬間です。
もちろんフグに比べてかなりコストパフォーマンスが優れている事も
特筆すべき点。
「おい茶目子、もう一杯熱燗つけて」
「あんた、何杯飲んでるの!ボーナスも出てへんくせに」
「そないいうな、ハゲちりはてっちりより安いし美味いから酒がすすむんや」
「あ~お父ちゃん、一人でキモ全部取った~、サイテー!」
「そないいうな、おじやがうまいんやで、ハゲちりは」
「あんたなんかキモで栄養つけてもしょうがないやないの!摩耶にあげなさい!」
「そないいうな、また明日買うてきたるがな…」
師走の灘のささやかな一家団欒の夕に市場のハゲちり。
今が旬ですよ。