日尾町を、というよりも灘区を離れて半年が経つ。
日尾町に住んで10年が経った昨夏、灘区を去ることになった。
思いがけない形で、灘区を巡る短い旅に一区切りがついてしまったかに思えた。
しかし、さほど遠くに移ったわけでもないので、
事情が許す限り「灘の旅人」は続けたいと思い直してみて、2年ぶりに更新してみる。
日尾町に住むことにしたのは、阪急六甲とJR六甲道の、
ちょうど中間あたりという立地が気に入ったからだ。
(後輩が同じマンションの隣の隣の部屋に住んでいたから、という別の理由もあったけれど・・・。)
山手幹線より山側の雰囲気も醸しつつ、
阪急六甲というよりは、庶民的な雰囲気を残しつつ、というバランス感覚。
山手と浜手の遷移地帯のような、中の手の雰囲気。
八幡神社のお膝元感もあるし、だんじり倉庫もある。
ケーキ屋のモリナカはいつも繁盛している。
モリナカの向かい側にあるコインパーキングには、
かつて「クラブミレー」があった。
灘区を離れてみて、改めて思うが、こういう密度の高い混沌というか、
コントラストが強めに「いろいろある」ということは、大きな魅力だ。
この日尾町(ひおちょう)という町名、意外と言いにくい。
電話で住所を伝える時、知らない人からは「ヒヨチョウですか?」と、何度も聞き返される。
仕方なく「お日さまの日に、しっぽの尾」と言わないと相手に通じない。
全国的に見れば、日尾の地名は散見される。
「日尾」の字を冠した神社もあり、「日王(神道における太陽を祀る神官)」に由来するという説もあるが、日尾町の日尾がそれなのか、定かではない。
この日尾町にも、山手幹線拡張の波は押し寄せ、
愛すべき定食屋やジーンズ屋がいくつか姿を消し、
その代わりに、山手幹線がデップリと太った。
日尾町、しばらく見ない間に痩せたような気がした。