泉通は水道筋商店街の南、JRの北。
1丁目から6丁目まで、ぎゅぎゅっとコンパクトにまとまった町だ。
区民ホールを下って、出発地点は都賀川右岸の公園の池。
いつの頃からか鯉が泳ぎ、ベンチが置かれ、人が集まる場所となった。
時間帯によって、いろんな人が集まる。
昼間は子育て世代のお母さんたちの井戸端会議、
夕方はじいちゃんばあちゃんの世代の憩いの場。
自転車で通りがかりに真剣に小さな池を覗いていくおっちゃん、子どもたち。
人の手によって作られたせせらぎであろうとも、
魚が泳ぎ人が集まる場所を築き上げた住民の方々の努力は賞賛に値するものだと思う。
水辺の風景に癒されながら、澄み渡る秋空を見上げる。
山手には錦秋の摩耶山が輝く。
冬将軍の靴音が響き渡るのは、すぐそこだろうか。
とりあえず例の如く西に向かって歩いていくと、灘税務署前に至る。
貧乏学生の私とて、日々各種税金はちまちまと払っているわけだが、
ここの税務署に出向いて納税するような経験はしたことがない。
せっかくなので「たのもう!」と勢いよく中に入ってみようかと思ったけれど、
「お金を取られる場所」というイメージが強くてちょっと腰が引けてしまった。
そもそも税務署の「ムショ」という語感がどうも好きになれない。
同じ「署」でも警察署や消防署は、仕事も制服も分かりやすくできている。
ところが税務署というのは、どう頭を捻っても具体的なイメージが湧いてこない。
税金制度は国家の根幹だし、万葉の時代まで遡っても税金ってのはあったわけだ。
大事な税務を担当しているんだから、
いっそのこともう少し斬新なデザインの建物にしても
いいんじゃないかなぁと勝手に考えてみたけれど、
それこそ税金の無駄遣いだと非難されそうなので、
結局これでいいのかと納得してみた。
「表札」だけは石碑のような雰囲気を醸し出してましたけどね。
税務署を通り過ぎて、イチョウの並ぶ道路に出る。
色づいたイチョウを眺めるにはちょうどいい季節だが、
よく見ると緑のままのイチョウも結構多い。
イチョウにも個性があるってことだろうか。
西に行けば大きなイチョウが並ぶが、東側のイチョウはまだ小さい。
最近植えたのだろうか。
あと30年もしたら、北大や御堂筋のイチョウ並木ぐらいに育つだろうか。
ついつい、桜のトンネルと肩を並べるぐらいの名所になることを期待してしまう。
でも、掃除や剪定などの手間も大変だろうと思う。
公園の鯉も同じだが、通り過ぎるだけの僕には、手入れや掃除の苦労は分からないのだ。
フラフラと何本かの川を越えて、何軒かの酒屋や病院の前を通り過ぎる。
西郷川沿いの公園の木々は落葉しきりだったが、小道はきれいに掃き清められていた。
手入れの裏には苦労があるし、税務署の裏には芝生がある(?)ということを学んだ泉通だった。
次回は「一王山」の予定です。お楽しみに。