町名表記上は「おどがひらちょう」と読むようだ。
川を挟んで、1丁目と2丁目ではだいぶ趣が異なる。
まず、六甲登山口から山側に向かおう。
六甲学院の中高生、神戸大学や松蔭女子学院大の学生で賑わう市バス36系統沿いの道には、新たに26系統の愛嬌ある新型バスも走り始めて賑やかだ。
そこから大土平町に一歩足を踏み入れれば、石垣の邸宅に包まれた昭和初期のような六甲の雰囲気を味わうことができる。
六甲川も、下流から上がってきてこのあたりまではノッペリとした石垣三面張りが続くが、ここから上流は急に山に吸い込まれるような雰囲気になっている。
川の中州のような部分に階段で下りてみると、水を含んだ柔らかい土と草の感触が楽しい。
しゃがみ込んで下流を見れば、橋の下から海が見えるような気さえしてくる。
川の西側に渡り、大土平町2丁目エリアに差し掛かると、対岸と違って庶民的な雰囲気の町になった。
日に日に強まる五月の日差しを遮る神社の大樹が、とても優しく頼もしい。
ここだけは、昭和どころか、はるか昔から変わらない場所なのかもしれない。
神社のすぐ上にある崖は、神戸市街部の「街」と「山」を分ける境界線だ。地図を確認すれば、このラインがまっすぐ伸びているのが分かる。東は渦森台、西は新神戸〜諏訪山〜会下山あたりまで伸びている。
六甲川まで戻ると、視界が全て石垣で覆われてしまうような錯覚に陥る。
原付に乗った学生が、石垣に目もくれず目の前を走り去っていった。