旅人を受け入れたくない町なのかもしれない、と思った。
整った町並み、抜群の眺望を持つ大月台の歴史は浅い。
平成元年、大月山という山の名前にちなんで付けられた名前だという。
大月台に入るためには、橋を渡る以外の手段がない。
六甲川の支流である炭山川にかかる「大月北橋」「大月南橋」、そして六甲川にかかる「大月大橋」の3本がある。
「大月大橋」を渡れば、谷を埋め尽くして迫る新緑に圧倒されそうになる。
夜になれば、夜景目当ての車がこの橋にずらりと並ぶこともある。
橋を越えてすぐに、「こんな時には110番」の看板。
少し歩けば、あちこちに「防犯カメラ作動中」の看板。
住宅街に似つかわしくないような、物々しいカメラ。
篠原台のさらに上、通過交通はない。
そのため、居住者以外の通行人はほとんどなし。
何かおもしろいものがないかと、公園や街路をウロウロをしてみる。
カメラを持って歩く私を写す防犯カメラ・・・・不審者は自分か??
シャッター付きのゴミ置き場に、いささか後ろ髪引かれる思いではあったが、少々居心地が悪くなって、そそくさと大月台を後にした。
風雅な町名とは裏腹に、防犯への苦労が大きいのかもしれない。