また1年ぶりの更新となってしまった。
備後町である。
成徳小学校あたりからウェルブの1番館(西側の高層棟)あたりまで、東西に広がる。
備後町の備後は、備後堂というお堂に由来するそうだが、定かではない。
備後国(広島県の福山や尾道あたり)に縁があったのだろうか。
備後町1丁目には、成徳小学校がある。
かつてこのあたりにあった成瀬村の「成」と、徳井村の「徳」を取って「成徳」となったという。
合成地名のわりに、聖人君子の雰囲気だ。
アニメ『火垂るの墓』に登場する小学校が、
かつての成徳小学校をモデルとしていることはよく知られている。
野坂昭如が住んでいた中郷町は、備後町のすぐ隣だ。
震災後のマンション建設ラッシュを反映し、
校庭にプレハブ校舎が建ったのは、ずいぶん前のような気がする。
卒業式シーズンである。
このプレハブ校舎も、子どもたちにとっては、
思い出の学舎になっているのかもしれない。
成徳小学校あたりから六甲道駅の方を眺めると、
マンションが幾層にも重なり合って見える。
巨大な山脈を仰ぎ見ているような気分だ。
灘温泉六甲道店や西病院がある備後町3丁目を西へ歩き、
六甲道駅南のイタリア広場に出る。
ピラミッドのようなものがある広場の北半分が備後町で、
ジャンプ台のようなものがある南半分は桜口町ということになる。
再開発事業の影響だろう。
境界線と思われる位置から広場を眺めてみたが、
たくさんの子どもたちが無邪気に遊んでいるだけだった。
希薄化した境界線は、グローバルな現代社会を彷彿とさせる。
平和の足もとに埋まる過去に、時折、想いを馳せるのがよい。