山手幹線よりもまだ上、阪急に沿って延びる中原通の名前は、
浜手と山手を分ける「中の手」の「中」に由来するという。
目と鼻の先の水道筋感を残しつつ、坂道の気配を感じさせつつ、阪急電車の音が響く。
東に行けば縦横に路地が絡まり合い、西に向かえばハイソな雰囲気の家もちらほら。
そんな中原通は、なるほどたしかに中の手の代名詞なのかもしれない。
中原通1丁目。
他人には教えない方がいいんじゃないかと思う場所の一つが、味のある路地。
「お邪魔します・・・」と呟いて玄関先に上がり込むような、
昼餉の匂いを嗅いでしまった罪悪感と幸福感が混ざり合ったような、
迷路のワクワク感と、手作りの庭先空間が同時に楽しめるような、
そんなステキな場所は秘密のままにしておきたいな、という気持ちでいっぱいになる。
最上級の路地空間から西にぷいっと吐き出されてみると、
そこは中央筋からひょいと上がったぶぎうぎロード。
ぶぎうぎが ぶぎうぎにきて ぶぎうれず ぶぎうぎかえる ぶぎうぎの声
西へ。
ひょっこりと顔を覗かせている「中原グランドキャニオン」。
アンドー先生も、このぐらいのスケール感だったらいいのに。
ふと気がつくと、祭りムードで賑わう王子公園だった。
中原通の懐は深い。