三宮方面に向かう、水道筋3丁目のバス停は、まさに水道筋3丁目にある。山手幹線の南側とはいえ、立派に水道筋なのだ。畳屋が並ぶ、あの交差点だ。
まだ7月に入ったばかりだが、それにしても暑い。太陽の存在感は日増しに強くなる。山幹を渡って、アーケードの日陰に入る。店から溢れたエアコンの冷気に包まれた商店街や市場は、まさに真夏の癒しのスポット。
アーケードは、エアコンの空気を逃さない。
だが、逃さないのは温度だけではない。
七夕の笹の匂い、食べ物の匂い、そして汗臭い人間の匂いが混じった空気が逃れることなく、濃く立ち籠めている。
19世紀、パサージュと呼ばれたパリのアーケードを彷徨ったヴァルター・ベンヤミンは「雨が降れば、雨宿りの客が集まって、パサージュの店は儲かる」なんて書いているが、今年の灘の梅雨空はアーケードに潤いをもたらしただろうか。。。