将軍通は、水道筋につながる町だ。
灘に暮らし始めたとき、「灘区には将軍とか王子とか、妙に偉そうな名前が多いのはなぜだろう?」と思ったりしたものだが、
最近では特に疑問を持たなくなった。それだけ馴染んだということか。
この将軍通というのが、名前のわりに庶民的というか、下町っぽい雰囲気なのだ。
都賀川を挟んで西から水道筋商店街が始まるという、このロケーションが、
「商店街じゃないけど、ここも庶民の町だよ」的な雰囲気を生み出しているのかもしれない。
山手幹線の拡張工事で、最後の砦のように残った数軒が目を惹く。
たこ焼き屋さんと床屋さんが並んで営業していた頃の「昭和な風景」が妙に懐かしいような。
とはいえ、数年前までは灘区役所が目の前だったわけだし、
今も区民ホール、灘ケーサツ、金沢病院なんかの大きな建物のすぐ近所なわけで、
これはどうにも立地的に将軍通あたりが灘区の要になっているというだけでなくて、
「将軍通」という名前の成せる業なのかもしれないと思ったり思わなかったり。
でも、将軍通は思いの外小さいエリアに収まっている。
将軍通の郵便局あたりで始まって、都賀川の東側まで、実にコンパクトだ。
関電の変電施設(「南灘変電所」という看板が出ている)が偉容を誇り、 交差点を渡ってちょっと歩けば、もう都賀川に出てしまう。
将軍通だからといって、暴れん坊将軍が白い馬に乗って駆け抜けていったり、大河ドラマの篤姫が草むらから出てきたりすることはなさそうだ。