震災の前の風景をほとんど失ってしまった町もたくさんある。
震災後の再開発とは、往々にしてそういうものであるようだ。
私たちの頭の中にある桜口町という地名が同じであっても、
震災前の桜口町と現在のwelv-桜口町は、同じものだろうか。
地上の緯度経度は、確かに同じ位置かもしれない。
でも、目の前にあるのは以前とはまるで違う町だ。
これを「記憶の断層」とでも呼べばいいのだろうか。
私は、震災前のこの町を知らない。
しかし、再開発が始まる前のこの町の景色は、ほんの少しだけ覚えている。
そしてwelvが現れた。
なぜイタリア広場なのか?
そもそも、町の名前がなぜアルファベットなのか?
(桜口にちなんで「チェリータウン」にでもしたらいいか、という話でもない・・・)
でも、子どもたちは楽しそうに遊んでいる。
オシャレなお店もたくさんできた。
「まちづくり」には、多大な苦労があったという。
ならば、このwelvの何が不満なのか。
この場所に来る度に、数多の疑問や想いが心の中で舞い上がっては沈殿する。
いつもいつも、その繰り返し。
芝生が痛みやすかったり、マナーの問題があったりするようだ。
公園を守る活動は、住民の方々が取り組んでいるという。
増え続ける「禁止看板」が痛々しくもある。
でも、多かれ少なかれ、他の町だって同じような悩みを抱えている。
welvだけが特別だというわけではない。
単純に、まだこういう「スタイル」に自分自身が馴染めていないだけなのか。
震災後に生まれた駅前ニュータウンは、
まだしばらくの間、僕を悩ませるに違いない。
ところで、桜口町には灘区役所がある。
区役所の移転に伴い、灘クミンの中でもいろいろな意見があったようだが、
それとは全然関係なく、最近、区役所のサイトに、こんなコーナーができた。
この「灘の旅人」では各町をウロウロと歩き回るだけに、
不審者情報には人一倍敏感なのだ。
自分が不審者に間違われないように・・・ではなく、
犯罪発生情報を共有しておくのは何かの役に立つかもしれない。
ナダタマは、区役所や行政とは何の関係もないけれど、
たまにはこういうのを紹介しても罰は当たらないと思う。
みなさんも、ご自宅近くの情報をチェックされてみてはいかがでしょうか?