大内通は、少々奇妙な形をしている。
1丁目から4丁目に至るまで、
西に行くほど階段を下っていくような形で細くなっていく。
この現象は、すぐ北隣の岸地通ではさらにギザギザ度が増していて、興味深い。
さらに山手幹線の南側には、ポツリポツリと飛び地のような水道筋の町域があったりするので、
これは大内通だけの変形現象ではないことが分かる。
もう少し目線を別のエリアに向けてみると、
山手幹線は「水道筋3」の交差点のところで微妙にカーブしていて、
そのすぐ南に素佐男神社がある。
そして、すぐ東側に、今は排水路のような姿になっている
小さな川を確認することができる。
明治時代の頃の地図を見れば、素佐男神社のあたりは、
この小さな川の谷底のような地形の部分にあるということが分かる。
そして、この小さな川を境に東西方向の等高線が微妙に折れ曲がっていて、
この大内通のギザギザのラインは、この等高線と並行しているように思えなくもない。
おそらく、自然地形の等高線と耕地整理、さらに山手幹線の整備や拡張に伴って、
町域や町境の変更が何度か行われた結果、このカクカクが誕生したのだろうけれど、
これだけの材料では、まだまだカクカクの謎は解けなさそうだ。
とりあえず謎は謎のままにしておこうということで、大内通1丁目から、
いつものようにフラフラと歩き始め・・・ようと思ったら、足下に魚影を発見。
どうやらハゼの仲間のようだ。光を受けた魚体が揚羽蝶のような色に見えて、
大きな鰭がひらひらと水の中で舞う。
最初は、巨大なグッピーかと見間違えた。
あまりにも真剣に水面を見つめる僕に、
通りがかりのおばちゃんが「魚、おったか?」と声をかけてきた。
すぐ下の池に魚を放っている人が近所にいるらしく、
でも、夜中に魚が忽然と消えてしまうことが度々あって、
その人はいろいろと苦労していて云々と、
都賀川親水公園魚狂想曲の第一楽章が幕開けしそうな勢いでおばちゃんは話し始めた。
魚の話の続きを聴きたいような聴きたくないような気分のまま、
おばちゃんに別れを告げて大内通を西に突っ切る。
ところが、ふと気がついたら西端の西郷川まで辿り着いていた。
ちょうど、水道筋一本分歩いたことになる。
古くもなく新しくもなく、工場やマンションや戸建て住宅が卓越しているわけでもない。
大内通は、こじんまりとバランスのいい町なのかもしれない。
この町のどこにも引っかからずに通り過ぎてしまったのは、
時間に追われた僕の心の問題なのだと思う。
途中、小さな川が生み出した小さな崖をの痕跡を示す階段の写真を撮ったりしたもの、
それ以外はまったくシャッターを押さずに歩き通してしまった。
空が青くて花が咲き乱れる季節だから、だろうか。