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2007年1月21日(日曜日)

第11話「岩屋中町」

カテゴリー: - aiai @ 07時59分22秒

岩屋中町の1丁目は、阪神西灘駅からHAT神戸方面に歩いてすぐ。

線路沿いに西に向かえば、岩屋公園に至る。

岩屋公園は現在、少年野球専用グランドになっているようで、
この日もところ狭しと子どもたちが練習していた。

小学生ピッチャーとは言え、
僕なんか一瞬で三振を取られそうなコントロールとスピード。

近所の通りがかりのオジサンな僕は、
岩屋公園からメジャーリーガーに!なんて過剰な期待を寄せながら、
ついつい熱い視線を送ってしまう。

公園をうろうろしていたら、味わい深い水道を発見。

地面からぶっきらぼうに突き出た鉄の柱。

真新しい光を放つ蛇口とのコンビネーションが斬新だった。

野球少年たちの元気な声を遠くに聞きながら、
傾き始めた冬の太陽が公園の水道に日時計のような影を添えた。

岩屋中町1丁目

岩屋公園の水道

岩屋中町4丁目、龍泉寺。

青銅のレリーフが空を見つめ、
割れ目の入った石像がにこやかに佇んでいた。

ここに来て急に、震災の気配を感じてしまった。
石仏たちは、今年はどんな1月17日を過ごしたのだろうか。



笑顔?

そして、敏馬神社。

5年くらい前、敏馬神社の祭りに来たことがある。

まだ倒れた灯籠があちこちにあったが、
本殿正面の階段を駆け上がっては引き返す雄壮な御輿に感動したのが懐かしい。

この日の境内は、静かな冬の空気に包まれていた。

目の前は海だけれど、なぜか石段。

石の形が、それぞれに違います。

敏馬の浦が万葉の時代から歌に詠まれてきたことは知られているが、
境内に設置された「歌枕『敏馬』を吟詠せし和歌・俳諧」を見ていたら、
こんな新しい歌にもぐっときた。

涛(なみ)ならぬ 自動車の爆音 背(せな)にして
    敏馬神社の 石階(いしだん)をのぼる(富田砕花・詩人)

御輿が階段を駆け上がります!(2002年撮影)

敏馬神社のすぐ西隣には、BBビル。島文さんの本拠地。

阪神岩屋駅のすぐ南に、でっかいガラス張りのビルが出来たのを見かけたときは、
10秒ぐらい空を見つめてポカンとしてしまった。

最近はクラッシックカーがあちこちに置かれたりして、
さながらオールドカーの博物館のような雰囲気だ。

バラ専門店の隣りにある喫茶店だけは妙に庶民的でホッとした気分になれるが、
すぐ向かいにある料亭・神戸吉兆に入るには、もうちょっと出世する必要がありそうだ。

何から何まで「BB」です。

ガラス張りのBBビルから道路を挟んで西側に、緑色のコンテナが並ぶ。

鈍い緑色のコンテナとパステルカラーの高層住宅のコントラストが妙に気になった。

万葉の歌人がこの風景を見たら何を想うだろうか・・・なんて考えていたら、
すぐ後ろを爆音のトレーラーが駆け抜けていった。

この空だけは、千年前の灘人が眺めた空と同じだと信じたい。




2007年1月14日(日曜日)

第10話「岩屋北町」阪神岩屋編

カテゴリー: - aiai @ 07時59分32秒

僕の生まれ故郷の静岡には、わりとローカルな雰囲気の私鉄が走っていた。

でも、地下鉄なんてのはどこにもなかった。

市街部に出れば地下道はあったけれど、
家の近所には「地下」なんてものはどこにも見あたらない。

だからだろうか、地下という言葉に妙に都会でオトナな響きを感じてしまう。

神戸に来て、友だちから「阪神タイガースがファンのために鉄道を走らせているねん」と言われて、
「マジ!タイガースすごい!!」と素直に感動したことがあった。

甲子園球場は大阪の向こうにあると思ってたぐらい無知だったので、
「ボケ」の意味が全然分からなくて、
関西人の友だちを何度も困った顔にさせてしまう日々が続いた。

そんな思い出ばかりの関西デビュー当時、
生まれて初めて阪神電車に乗ったときのことだ。

私鉄というものは、ずっと地上を走るものだとばかり思っていたら突然、
山もないのにトンネルに入った。気が付いたら三宮に着いていた。

吸い込まれるように地下に消えていく阪神電車の線路。

地下を走るのは地下鉄だけだと思っていた僕の頭は混乱して、
阪神に乗ったつもりなのに実は別の電車に乗ったのではないかと考えたりした。

都会では何気ないことでも、僕みたいなオノボリさんにとっては、
地下なのか地上なのか高架なのかという違いは大問題なのだ。

かつての岩屋駅の名残の階段。

阪神岩屋駅あたりに来ると、そんなほろ苦い阪神電車体験を思い出す。

青とクリーム色の阪神電車が滑るように地下に潜り込んだと思ったら、
今度は別の電車が地下から湧き上がってくる。

この駅も改築されて何年も経つけれど、
すっかりトマソン(無用の長物?)化してしまったこの階段を見ると切ない反面、
なぜかニヤニヤしてしまう。

ここが地上と地下の境目だよという思い出の記念碑のようで、
理由もなく楽しい気分になってしまうのだ。

JR灘駅、そして阪神岩屋駅。岩屋北町には二つの駅がある。

僕にとって、これはすごいことなのだ。

岩屋北町。


2007年1月7日(日曜日)

第9話「岩屋北町」トンネル編

カテゴリー: - aiai @ 07時59分15秒

JRをくぐる川のトンネル。遠くに滝が何段か見える。

今回は、写真を一枚だけ紹介します。

このトンネルの左半分が岩屋北町1丁目です。

正式には「西郷川橋りょう」と言うそうです。

これでも「橋」なんですね。

JRの下をくり抜いた、5.5m×4.4m×102.3mの空間。

おそらく、橋の長さが5.5mということになります。

遠くに、堰堤が見えるところもなかなかgoodです。

コンクリートでできた、無機質なトンネルですけど、なんだか冒険心をかき立てられてしまいます。

ここをくぐり抜けて向こう側に行ってみたいな、なんて。

いつの日か、西郷川、都賀川、観音寺川などの灘区の川を、
源流から海まで辿る旅をしてみたくなりました。


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