黒々とした山の端から力強い光の矢が差した。
低いどよめきの後、再び静けさがあたりを覆う。
人々の視線は矢の放たれる方へ向けられた。
それぞれの想いとともに。
2007年の夜明けを摩耶ロープウェーの中で迎えた。
本来は掬星台で拝むつもりであったのだが
思惑を同じくする人々があまりに多く、
日の出に間に合う便を眼前で見送ることになってしまった。
そんな不運は貴重な体験へと姿を変えた。
見えない力に感謝。
厳かな雰囲気を共有する中に、姉妹の姿があった。
親族三代で訪れている様子だ。
おじいちゃんに促されて日の出を見つめている。
小学校にもまだ上がらないこの姉妹は
この時何を感じていただろうか。
場を共有する者の気持ちが一つになる経験。
きっとちびっ子たちの記憶に深く刻み込まれただろう。
五毛天神にて初詣。
社務所の番をしているのは高校生くらいの男の子二人組だった。
ビジンな巫女さんでないことにがっくりする人もいたかもしれない。
たぶん彼らは神主さんのご親族なのだろう。
地域に根ざしたこの天神さんの将来を担うのかもしれない彼ら。
たくさんの人たちが想いをもって訪れることを
今のうちから肌で感じ取ってくれているのだ。
僕は何だか嬉しい気分だった。
五毛天神よ、永遠なれ。