第四堰堤手前、少し開けた場所で休憩。
川に削られ滑らかになった岩肌は下ろした腰に優しい。
流れの誘惑に負けて子どもたちは水遊び。
僕は寝転がって、茂る木に縁取られた空を眺めた。
おやつ片手に傍に座る子。
後ろにははしゃぎ声、耳元にはブリッとおならの音。
えっ…?ぅをい!さわやかな雰囲気を返せー!
そろそろ帰りたいと言う子どもたちをなだめながら第四堰堤を越える。
急な斜面を登った先でムベの天蓋に出くわした。
ムベはアケビの仲間だがアケビと違って自然に開かないので
中身が蟻の行列ににじられていることは無い。
マイナーな実りので知らないハイカーも多い。
期待を胸に仰ぎ探すと…たくさんある!
登れる木を探していると子どもが長い棒を見つけてきた。
グッジョブ!僕が天に棹差し、落ちた実を子どもが拾う。
谷に転げた実もおサルのような身こなしで残さず回収。
袋は一気に膨れていく。
その場で一つ割り開く。
でんぷん糊のような無形感。
ホンマに美味しいの?と目で訴えている。
ゴメン、僕も食べるの初めてだから分からない。
指先程の欠片を口に含む。
おお、意外な感じの美味。
アケビの雰囲気を残したバナナ味と言ったところか。
いや、下手に表現しない方がよいか、ムベ味だ。
次から次へと割開かれていく。
お土産を手に下山。
荷物は多いが足取りは軽い。
すれ違うおっちゃんには挨拶代わりに自慢。
小学校前まで下りてきて先生にも自慢。
今日の自慢、来年にも活かそうな。