灘センター商店街の広くはない道を子どもたちが蹂躙する。
「チャンジャ、チャンジャ、おいしいチャンジャ」
即興曲を1年生の男の子たちが合唱する。
目指すは三味。
そう、前回書いた三味のチャンジャ、実は続いてしまった。
あまりにファンが多かったので、遠足の帰りに買いに行ったのだ。
クーラーを10人の子どもが取り囲む。
見るなりチャンジャよりもキムチにご執心な子どもたち。
白菜、キャベツ、カクテキ、きゅうり、どれも美味しそう。
キムチも買うか?と聞くとみんな違うのを指差してまとまらない。
騒ぎを聞きつけて奥からご主人が出てきた。
「どれがええ?」
希望のキムチに楊枝を刺して、食べてごらんと渡してくれる。
こうなったらもう止まらない。
子どもたちの欲の底が見えなけりゃ、ご主人の懐の深さも底が見えない。
「もーええ加減にしろやぁ」
少し苛立ったように吐き捨てる高学年の男の子。
遠慮しぃな性格と克己の心がそう言わしめる。
しかし、遠慮しぃだから強くは言えない。
そんな葛藤が微笑ましい。
一通り味見をさせてもらい、白菜、カクテキ、チャンジャを購入。
本日のおやつはこれらとあめ玉。
「後で口の中が辛くなるやろうから」というセレクト。
それがそうでもないんだな。
本場の美味しいキムチは辛味が優しいのだ。
辛さというブレーキがかからず、楊枝を持つ手は加速する。
青唐辛子に手を付けるチャレンジャーまで出る始末。
あっという間に汁まで平らげてしまった。
「ガクエイさんとか水野屋のコロッケがある商店街やで」
「学童から海の方に向かって真っ直ぐ歩いたトコやで」
あの場所を記憶にとどめておくためのおまじない。
しっかり効いてくれるかな。