もはやマイスター。
職人が3人揃えば広い砂場の全てが危険。
目で見ても分からないから
心を構えるしか打つ手がない。
こんな業師が生まれたきっかけは紛れもなく自分。
とは言っても、レベルの高い落とし穴を作って見せたが
手取り足取り教えた覚えはない。
日に日に進化する作品はついに大人をも欺いた。
師匠たる僕が引っかかってしまったのだ。
丸山公園の広いピラミッド跡地、
掘り返す様はさながら発掘作業。
実際、掘ればピラミッド時代の木片や綱が出てくることも。
穴に蓋をする落ち葉や小枝は探さずとも見つかる。
まさに落とし穴にはうってつけの公園である。
「おい〜、なんで引っかかるねん。」
頑固職人は怒る。
どうやら作りかけだったようだ。
引っかかるほどに巧妙な出来なのだが。
もはや何のために作っているのかわからない。
出来上がっていても怒られることがある。
彼らにとって落とし穴は引っかかるところまでが作品で、
引っかかり手も自分が指定した人でなければ
完成とは認めない様子なのだ。
指定した人の目を隠して連れてくる。
落ちた。
「よっしゃ〜!成功!」
目を隠したら巧妙である意味が無い…というのは大人の考え。
子どもは子どもの世界観で楽しんでいるのだ。