小虫のように這いつくばる子どもたち。
夢中で小石を掻き分け水晶を探す。
テレビゲームに登場する夢のアイテムが
今、自分の足元に埋もれている。
我先にとゲットを目指す男の子たち。
眼下に広がる木々は黄色味を帯びている。
山々に掬われるようにわずかに見える青谷の街が
余計に山の中に居ることを感じさせてくれる。
そんな大きな宝には目もくれず、小さな宝を掘り探す。
今までこんなに地面を凝視したことはあっただろうか。
大人でもコンタクトレンズを落とした時くらいだろう。
いつもすぐに投げ出す子どもたちだが、
今日の集中力は途切れることを知らない。
黙々…ではなく替え歌を大合唱しながら
しかし手を休めることは無い。
「ぎゃー みつけたー ぅおー マジこれ水晶やって!」
まぁ落ち着け。
ふむ、綺麗な六角出てるし、透明度もまずまず。
誰に見せても水晶だって分かってもらえる一品ですな。
「よしゃー! も、もっと探したる!」
しばらく帰れそうにない。
結局1時間半で"水晶"はそれ一つだったが、
ガラス片のようなかけらはたくさん拾えた。
男の子たちはみな一様に言う。
「持って帰ってお母さんにプレゼントするねん。」
素敵な家庭なんだろうと想像した。