今年のゴールデンウィークは天候に恵まれた。
摩耶山のドライブウェーでは、六甲山牧場を目指す車が渋滞し、
五毛天神の春祭では、地車の宮入を見物するたくさんの人が
天神筋にあふれた。
もちろん王子動物園にもたくさんの人が訪れたのだが、
まるでエアポケットのようにぽっかりと静かな場所があった。
昨年末、遊園地内にある北食堂が閉店した。
大食堂の雰囲気をちょっぴり残した、味のある食堂だった。
かつてそごう、大丸、三越、神戸のデパートにも必ずあった大食堂。
長大なショーケースにならぶ、めくるめく食品サンプル。
入り口で食券を求めて席につくと、ウエイトレスが半券をもぎって
いった。ぬるめのお茶はセルフで、プラスチッキーな茶瓶の周りに
花びらのように湯のみが配置されていた。
あの「何でもある感」「みんなで食べる感」に満ち満ちていた昭和の
レストランは、屋上の小さな遊園地とともにデパートから姿を消した。
そしてそれらは王子動物園内にのみ残った。
北食堂は南食堂に遅れること6年、昭和46年に開店。
1階は子ども汽車プラットホーム、2階が食堂という
なかなか画期的なプランニングだ。
3方が開口部の明るい店内には、いつも親子連れの笑い声が響いていた。
閉店した食堂には休業を伝える張り紙があったが、誰も気に留めない。
南食堂(レストランパオパオ)の異常な混雑振りが、北食堂閉店の影響だと
いうことに誰が気づいたであろう。
王子飯店とともに、灘からまた一つひっそりと小さな昭和が消えた。
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ナダタマ - ZOOマニア : さよなら北食堂 by naddist
Trackback by reverse phone lookup — 2013年6月29日(土曜日) @ 00時11分50秒