[010130-79]摩耶埠頭をめぐって【さら灘06】
投稿者: Naddist 掲載日: 2001-1-30 (2398 回閲覧)
...n a d d i s t
...010130-79
...
...naddism Edit.
============================================================
愛しき灘を書き綴った、連載「さら灘」は今回で第六話。
まだまだ続く?!
久々に登場の「摩耶埠頭」です。
==========================================さらば愛しき灘よ06
●DECO様(元・学遊飲住愛憎喜怒哀楽クミン)
■第六話 摩耶埠頭をめぐって
灘を離れて六年になる。その間に僕は六歳分の歳をとった。同じ
ように、クラブ○レーのママも、喫茶Lガートのマスターも、そし
てあなたも六歳分の歳をとったことだろう。いつまでも歳をとらな
いのは、死んでいった者たちと、サザエさん一家だけだ。
僕自身、この六年間に、引っ越し、結婚、出産、離婚、脱サラ、
脱税、脱皮、脱獄などを経て変化する可能性もあったが、実行した
のは引っ越しだけである。他方、そんな僕をよそ目に灘のまちは激
変した。六年前、王子動物園のアイドルはパンダではなかった。
キリンやゾウやカピバラであったかもしれないが、少なくともパン
ダではなかった。六甲道の居酒屋Fくべは安くて小汚い店で有名だ
ったが、今は安くてこぎれいな店になった。八幡市場の南側にあっ
たお地蔵さんは再開発ビルの五階に引っ越しをした。八幡市場の北
側にあった大きなマテバシイは、巨大なマンションに席を譲った。
世の中は変わり続ける。はるか昔、PPMが宣言し、ボブ・ディ
ランが追認していた。
僕がまだ灘に住んでいた頃、よく摩耶埠頭に行った。たいていは
飲み続けたあとである。僕はまだ若く(今も若い)、世間知らずで
(今も世間知らず)、ル・コルビュジエに心酔し、カティ・サーク
に泥酔する学生だった。摩耶埠頭へは、ゼミの連中と行くことが多
かったが、ときには旅先で出会った連れやガールフレンドを誘った
りもした。僕らは係留されている外国船籍の貨物船を眺めながら、
ソ連の解体や東西ドイツの統合、天安門事件、湾岸戦争の勃発など
ポスト冷戦期突入前後の数々の世界的事件について論ずるのは他人
に任せておいて、どこの地酒がうまいだとかどこに行けばグレンモ
ランジが飲めるだとか誰とフレンチカクタスを飲んだだとかいった
話をした。要するに酒が好きだったのだろう。
摩耶埠頭はポートアイランドと六甲アイランドという世界有数の
人工島に挟まれてどこか寂しげだ。摩耶埠頭にいると、高速道路で
メルセデスとジャガーに挟まれたミラ・パルコに乗っているような
気分になる。もしあなたが回転寿司のファンならば、「たい」と
「とろ」の間に載せられた「いかげそ」のような存在だと思うかも
しれない。
そんな、どこか肩身の狭そうな摩耶埠頭のことが好きだった。
少なくとも、ポートアイランドや六甲アイランドよりはずっといい
と思った。言うまでもなく、これは個人的見解である。個人的偏見
といってもいい。個人的でない偏見があるとすればの話だが(もち
ろんそれはある。世の中は個人的でない、群集的偏見に満ちている)
摩耶埠頭には「マウンテンコースター」も「リバーモール」も「フ
ァッション美術館」もない。でも、いやだからこそ、僕は摩耶埠頭
というミラ・パルコ的、いかげそ的空間を愛しく思う。港湾建設が
かつての海辺をどうしようもなく傷つけてきたのだという一般論を
理解しつつも。
阪神大震災から三年が経った一九九八年の一月一七日早朝、僕は
摩耶埠頭にいた。カーステレオのFMを聴きながら、午前五時四六
分が来るのを待った。かすかに小雨が頬に触れた。時刻の到来とと
もに、僕は一瞬身を硬くした。地元のFM局は一分間の静寂を電波
に乗せていた。波の音が聞こえたはずだが思い出せない。僕は何か
別のことを考えていた。それは、摩耶埠頭をめぐる、不思議な思い
出だった。
僕は、ゼミの先輩の日野さん(仮名)と後輩の本田君(仮名)ら
と一緒に、車で摩耶埠頭に向かっていた。日野さんは、ひどく酔っ
た口調でしきりにどこに行くのかと訊ねた。本田君は苛立つようす
もみせずに「摩耶埠頭です」と繰り返していた。そのたびに、日野
さんは「そら難しい」とか「やっぱり難しいな」とわけのわからな
いことをつぶやき返していた。いったい日野さんにとって、摩耶埠
頭の何がそんなに難しいのかはさっぱりわからなかった。後日訊ね
てみても、粗方の予想どおり、日野さんの記憶はずっと手前から途
絶えていた。
‥‥長い間、そんな話は忘れていた。なぜ、この鎮魂の静寂のな
かでそんな記憶がよみがえってきたのかはよくわからない。気がつ
くと、カーステレオは再び何かを語り、何かを歌っていた。僕は回
想を中断し、車に乗り込んだ。ドアを閉め、ふと思った。そういえ
ば、六甲アイランドの遊園地はなくなり、ポートアイランドはその
先にさらに造成地を抱え、海を前よりももっと遠くへと追いやった。
摩耶埠頭だけが昔と同じだった。
世の中は変わり続ける。このまちが実践し、僕らはその目撃者と
なった。でも、摩耶埠頭を変えることは難しい、思い知ったか。
日野さんはそう言いたかったのかもしれない。
------------------------------------------------------------
DECOさんありがとうございました。
大地が揺れた1月17日、「無常」というものを実感しました。
無常=永遠に変わらないものはないこと
大地の上にある、お気に入りの町も懐かしい家もそして人の命も。
naddistは町が「無常」であることがベースになっています。
「町は変わり続けるものである」からこそ「今ある町の日常を大切
にしたい」と思っています。その中で、変わり続けない「何か」が
見つけられればいいかなと。
新しい人も家も店も風景も、そして懐かしい記憶も、これからの
「愛しき灘」の大事な構成メンバーなのです。だから「どんな些細
な事も大切に扱いたい」と思っています。naddistのマニアックさは、
そんな思いから来ている事もご理解頂ければ幸いです。
話し変わって摩耶埠頭。
日野さん(仮名)にとっては残念なことですが、実はあそこも無常
でした。以前は櫛形だったのですが、現在、突堤部分の間の海は埋
め立てられ、「ミニポートアイランド」的な茫洋とした、つまんな
い形に変わってしまいました。場所としての魅力は改悪されたよう
に思います。一突(第一突堤)、二突…といった呼び名はもうあり
ません。
「俺、四突好きやねん」
「ウルトラセブンに出ていたのは二突だよ絶対」
「昨日、三突でロシア人にあった」
「ゲイラカイト上げるなら一突やなあ」
といった、会話は過去の物となりました。
でもやっぱり摩耶埠頭は摩耶埠頭。
相変わらず風は冷たく、波はシャバシャバ。
だって摩耶埠頭なんですから。
============================================================
naddistに頂いた、皆さんからのご意見ご感想や灘情報を
ご紹介する「なだっちゅーの!」を、お送りいたします。
メールを下さった皆様、ありがとうございました。
=========================================なだっちゅーの! 61
[naddist 010110-77]NADA DRIVEへのご意見を頂きました。
●アアルト様(元学びクミン・西宮在住)
県立近代美術館、是非残して欲しいです。最近は、古い銀行を改装
してバーにしたり、教会を喫茶店にしたり、古くても良い物は内容
を変えてまでも使っています。
あの美術館をなんの用途に使うかは、良い考えが浮かばないんです
けど、カフェなんかにするのは結構おしゃれでよいかも!
もしくは、美術館だったんで、光が直接はいらないよう設計してい
るはずだから、図書館兼、自習室みたいな感じでも良いかも。近く
に学校もあることだし、彼らをターゲットにした建物だと、有効利
用されやすい気がします。
とにかく、村野さんは好きな建築家の一人であるし、絶対残して欲
しいです。そごうよりも。
ご提案ありがとうございました。
松陰、海星の方々の図書館兼、自習室…いいかもしれませんね。
県としては「建物は自由に使っていいからその代わり運営もお
任せします。もちろん金は出せません」というスタンスのよう
です。神戸市には、あそこを有効利用しようという意志はない
ようです。でも裏を返せば区民(市民)が自由に利用できる空
間を自らの手で創るチャンスだと思います。
読者の皆様の中でも、なにか良い(面白い)ご提案ありました
ら、naddistまでご意見お寄せ下さい。
-----------------------------------------------------nad
[naddist 010120-78]NADA SONICへのご意見頂きました。
●ナダレーヌ様(原クミン)
「あるオッサンの歌」ありがとうございました。とても懐かしかっ
たです。私は何故かこの歌は知ってました。多分夏のキャンプのと
きに覚えたのだと思います。友人は振りがついていたと言ってます。
次回の宴会は[歌って踊る「あるオッサン」]ということになるか
もしれませんね。
振りがありましたか。知りませんでした。是非ご教示下さい。
この歌はキャンプか業間の歌というイメージが強いですね。
「ジェンカ」や「鬼パンツ」の影にかくれていましたが。
(あー「自然の家」でスタンツしてぇ〜)
「灘ダッジオーブン芋合戦〜杣谷の戦い(再び)」で再現して
みたいと思います。
-----------------------------------------------------nad
●CHOCO様(元灘学びクミン・モスクワ在住演劇批評家)
「ある(あの)おっさん」の歌、知っています。でも、西灘小学校
でなかった私は、事もあろうに、御影のとある神社内にあった郡家
会館で、活動していたガールスカウト51団の手作り歌集で、それ
を見て替え歌して歌っていた記憶があります。でも、微妙に歌詞が
後退(?)しているようで、やや違うところがあるのです。
順序は忘れましたが、
あのおっさん、いいはった。なんや?
アメリカへ行ったとき。ふんふん。
ニューヨークで風呂に入り、
これがほんとの入浴。ふーん。
あのおっさん、いいはった。なんや?
ヒマラヤへ行ったとき。ふんふん。
火食い鳥に水の飲ませ、腹裂いて風呂にした。
ふーん。
けっこう何番かあった気がするのに、今はすぐに思い出せません。
でも、「おっさんは、すごく風呂にこだわる!」という強烈なイメ
ージが残っているのはたしかです。しかし、あの集団に灘の方がい
た覚えがなく(もしかするといたのかも?)どこかを経由して、伝
承されてきたのでしょう。ただ、割合お上品な家の子が多かった、
あのお嬢様予備軍で、(私は完全に外れたものの)こんな歌を歌っ
ていたことは、今考えると、やや驚きと、興奮に見舞われますね。
あんまり関係ありませんが、私も「おっさんの意志」を継いだのか、
この一年ほど、極寒のモスクワより演劇批評の修行中のため、拙い
メールマガジンなど出しております。関西人の視点、というとこを
強調しつつ、もちろん、神戸人、灘学び人、naddist的な感覚をフル
に回転させています。もし、ご興味ありそうな方、おられましたら、
ご一読お願いします。
(ロシア・天井桟敷HP)
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/5825/tenjousajiki.html
遠くモスクワより情報ありがとうございました。
「割合お上品な家の子が多かった、あのお嬢様予備軍」である
はずのガールスカウト51団は「火食い鳥に水飲ませ、腹裂い
て風呂に」するんですか?
私もある種の驚きと、興奮に見舞われました。
何か「悪ぶりたいいんだけど、考えオチにとらわれ過ぎ、ツボ
を外してしまった」という感じがとっても屈折してて「郡家」
って感じで、思わず抱き締めたくなります。また、この歌詞、
ボケとツッコミになっていない…。「ふーん」って終わられて
も…。おそらくバイオリンのお稽古で「道頓堀アワー」を見さ
せてもらえなかった、御影ガールの悲哀が感じられます。
CHOCO様はモスクワで演劇批評修行中とのこと。
やはり立ち飲みはウォッカですか?
-----------------------------------------------------nad
============================================================
● naddist NEWS ●
============================================================
● 潮風の誘惑 摩耶埠頭を渡る風ツアー開催! ●
今回の「さら灘」でも紹介された、普段あまり訪れる事はないけど、
とっても素敵な場所、摩耶埠頭・灘湾岸。
摩耶埠頭から新在家までの湾岸ツアーを来月開催する予定です。
21世紀初イベントとなります。奮ってご参加下さい。
日時:2月12日(祝)
14:00〜17:00
見所:市バス29系統をバスジャックして摩耶大橋越え、幻の短命
駅国鉄摩耶埠頭貨物駅跡、神戸製鋼引込線廃線跡散策、小野
田セメント、日石タンク見学、ナダハマガニ、ナダハマクラ
ゲ観察、灘区唯一の砂浜見学、ガントリークレーン早登り、
コンテナヤードかくれんぼ、ウルトラ警備隊ポインター停車
位置確認etc
詳細は次号にて。
参加ご希望の方は事前にnaddistまでメールでお知らせ下さい。
============================================================
naddist発行の「レッツキッス」は皆様からのメールです。
お気軽に「町話」「感想」お寄せ下さい。
naddistへ、ご意見ご感想、情報メールをお送り頂く時は、
・「なだっちゅーの」(読者お便りコーナー)への転載の可否
・転載の条件(匿名希望、ハンドル名等)
・現在住んでいる所(もしよろしければ)
・灘区との関わり(適当につけて下さい)
(例)元クミン:元灘区在住
現クミン:現灘区在住
(クミン=区民ではないので、他地区の方大歓迎)
等を明記して頂ければ幸いです。
------------------------------------------------------------
♪あ、まえ、あ、うしろ、あ、まえまえまえ
------------------------------------------------------------
ご意見ご感想は eken@pp.iij4u.or.jp までお願いします。
------------------------------------------------------------
naddist [Kapsel naddism] 0000009510
produced by "naddism Edit."(@parabolart)
e-mail "eken@pp.iij4u.or.jp"
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powered by "magmag" www.mag2.com
...010130-79
...
...naddism Edit.
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愛しき灘を書き綴った、連載「さら灘」は今回で第六話。
まだまだ続く?!
久々に登場の「摩耶埠頭」です。
==========================================さらば愛しき灘よ06
●DECO様(元・学遊飲住愛憎喜怒哀楽クミン)
■第六話 摩耶埠頭をめぐって
灘を離れて六年になる。その間に僕は六歳分の歳をとった。同じ
ように、クラブ○レーのママも、喫茶Lガートのマスターも、そし
てあなたも六歳分の歳をとったことだろう。いつまでも歳をとらな
いのは、死んでいった者たちと、サザエさん一家だけだ。
僕自身、この六年間に、引っ越し、結婚、出産、離婚、脱サラ、
脱税、脱皮、脱獄などを経て変化する可能性もあったが、実行した
のは引っ越しだけである。他方、そんな僕をよそ目に灘のまちは激
変した。六年前、王子動物園のアイドルはパンダではなかった。
キリンやゾウやカピバラであったかもしれないが、少なくともパン
ダではなかった。六甲道の居酒屋Fくべは安くて小汚い店で有名だ
ったが、今は安くてこぎれいな店になった。八幡市場の南側にあっ
たお地蔵さんは再開発ビルの五階に引っ越しをした。八幡市場の北
側にあった大きなマテバシイは、巨大なマンションに席を譲った。
世の中は変わり続ける。はるか昔、PPMが宣言し、ボブ・ディ
ランが追認していた。
僕がまだ灘に住んでいた頃、よく摩耶埠頭に行った。たいていは
飲み続けたあとである。僕はまだ若く(今も若い)、世間知らずで
(今も世間知らず)、ル・コルビュジエに心酔し、カティ・サーク
に泥酔する学生だった。摩耶埠頭へは、ゼミの連中と行くことが多
かったが、ときには旅先で出会った連れやガールフレンドを誘った
りもした。僕らは係留されている外国船籍の貨物船を眺めながら、
ソ連の解体や東西ドイツの統合、天安門事件、湾岸戦争の勃発など
ポスト冷戦期突入前後の数々の世界的事件について論ずるのは他人
に任せておいて、どこの地酒がうまいだとかどこに行けばグレンモ
ランジが飲めるだとか誰とフレンチカクタスを飲んだだとかいった
話をした。要するに酒が好きだったのだろう。
摩耶埠頭はポートアイランドと六甲アイランドという世界有数の
人工島に挟まれてどこか寂しげだ。摩耶埠頭にいると、高速道路で
メルセデスとジャガーに挟まれたミラ・パルコに乗っているような
気分になる。もしあなたが回転寿司のファンならば、「たい」と
「とろ」の間に載せられた「いかげそ」のような存在だと思うかも
しれない。
そんな、どこか肩身の狭そうな摩耶埠頭のことが好きだった。
少なくとも、ポートアイランドや六甲アイランドよりはずっといい
と思った。言うまでもなく、これは個人的見解である。個人的偏見
といってもいい。個人的でない偏見があるとすればの話だが(もち
ろんそれはある。世の中は個人的でない、群集的偏見に満ちている)
摩耶埠頭には「マウンテンコースター」も「リバーモール」も「フ
ァッション美術館」もない。でも、いやだからこそ、僕は摩耶埠頭
というミラ・パルコ的、いかげそ的空間を愛しく思う。港湾建設が
かつての海辺をどうしようもなく傷つけてきたのだという一般論を
理解しつつも。
阪神大震災から三年が経った一九九八年の一月一七日早朝、僕は
摩耶埠頭にいた。カーステレオのFMを聴きながら、午前五時四六
分が来るのを待った。かすかに小雨が頬に触れた。時刻の到来とと
もに、僕は一瞬身を硬くした。地元のFM局は一分間の静寂を電波
に乗せていた。波の音が聞こえたはずだが思い出せない。僕は何か
別のことを考えていた。それは、摩耶埠頭をめぐる、不思議な思い
出だった。
僕は、ゼミの先輩の日野さん(仮名)と後輩の本田君(仮名)ら
と一緒に、車で摩耶埠頭に向かっていた。日野さんは、ひどく酔っ
た口調でしきりにどこに行くのかと訊ねた。本田君は苛立つようす
もみせずに「摩耶埠頭です」と繰り返していた。そのたびに、日野
さんは「そら難しい」とか「やっぱり難しいな」とわけのわからな
いことをつぶやき返していた。いったい日野さんにとって、摩耶埠
頭の何がそんなに難しいのかはさっぱりわからなかった。後日訊ね
てみても、粗方の予想どおり、日野さんの記憶はずっと手前から途
絶えていた。
‥‥長い間、そんな話は忘れていた。なぜ、この鎮魂の静寂のな
かでそんな記憶がよみがえってきたのかはよくわからない。気がつ
くと、カーステレオは再び何かを語り、何かを歌っていた。僕は回
想を中断し、車に乗り込んだ。ドアを閉め、ふと思った。そういえ
ば、六甲アイランドの遊園地はなくなり、ポートアイランドはその
先にさらに造成地を抱え、海を前よりももっと遠くへと追いやった。
摩耶埠頭だけが昔と同じだった。
世の中は変わり続ける。このまちが実践し、僕らはその目撃者と
なった。でも、摩耶埠頭を変えることは難しい、思い知ったか。
日野さんはそう言いたかったのかもしれない。
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DECOさんありがとうございました。
大地が揺れた1月17日、「無常」というものを実感しました。
無常=永遠に変わらないものはないこと
大地の上にある、お気に入りの町も懐かしい家もそして人の命も。
naddistは町が「無常」であることがベースになっています。
「町は変わり続けるものである」からこそ「今ある町の日常を大切
にしたい」と思っています。その中で、変わり続けない「何か」が
見つけられればいいかなと。
新しい人も家も店も風景も、そして懐かしい記憶も、これからの
「愛しき灘」の大事な構成メンバーなのです。だから「どんな些細
な事も大切に扱いたい」と思っています。naddistのマニアックさは、
そんな思いから来ている事もご理解頂ければ幸いです。
話し変わって摩耶埠頭。
日野さん(仮名)にとっては残念なことですが、実はあそこも無常
でした。以前は櫛形だったのですが、現在、突堤部分の間の海は埋
め立てられ、「ミニポートアイランド」的な茫洋とした、つまんな
い形に変わってしまいました。場所としての魅力は改悪されたよう
に思います。一突(第一突堤)、二突…といった呼び名はもうあり
ません。
「俺、四突好きやねん」
「ウルトラセブンに出ていたのは二突だよ絶対」
「昨日、三突でロシア人にあった」
「ゲイラカイト上げるなら一突やなあ」
といった、会話は過去の物となりました。
でもやっぱり摩耶埠頭は摩耶埠頭。
相変わらず風は冷たく、波はシャバシャバ。
だって摩耶埠頭なんですから。
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naddistに頂いた、皆さんからのご意見ご感想や灘情報を
ご紹介する「なだっちゅーの!」を、お送りいたします。
メールを下さった皆様、ありがとうございました。
=========================================なだっちゅーの! 61
[naddist 010110-77]NADA DRIVEへのご意見を頂きました。
●アアルト様(元学びクミン・西宮在住)
県立近代美術館、是非残して欲しいです。最近は、古い銀行を改装
してバーにしたり、教会を喫茶店にしたり、古くても良い物は内容
を変えてまでも使っています。
あの美術館をなんの用途に使うかは、良い考えが浮かばないんです
けど、カフェなんかにするのは結構おしゃれでよいかも!
もしくは、美術館だったんで、光が直接はいらないよう設計してい
るはずだから、図書館兼、自習室みたいな感じでも良いかも。近く
に学校もあることだし、彼らをターゲットにした建物だと、有効利
用されやすい気がします。
とにかく、村野さんは好きな建築家の一人であるし、絶対残して欲
しいです。そごうよりも。
ご提案ありがとうございました。
松陰、海星の方々の図書館兼、自習室…いいかもしれませんね。
県としては「建物は自由に使っていいからその代わり運営もお
任せします。もちろん金は出せません」というスタンスのよう
です。神戸市には、あそこを有効利用しようという意志はない
ようです。でも裏を返せば区民(市民)が自由に利用できる空
間を自らの手で創るチャンスだと思います。
読者の皆様の中でも、なにか良い(面白い)ご提案ありました
ら、naddistまでご意見お寄せ下さい。
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[naddist 010120-78]NADA SONICへのご意見頂きました。
●ナダレーヌ様(原クミン)
「あるオッサンの歌」ありがとうございました。とても懐かしかっ
たです。私は何故かこの歌は知ってました。多分夏のキャンプのと
きに覚えたのだと思います。友人は振りがついていたと言ってます。
次回の宴会は[歌って踊る「あるオッサン」]ということになるか
もしれませんね。
振りがありましたか。知りませんでした。是非ご教示下さい。
この歌はキャンプか業間の歌というイメージが強いですね。
「ジェンカ」や「鬼パンツ」の影にかくれていましたが。
(あー「自然の家」でスタンツしてぇ〜)
「灘ダッジオーブン芋合戦〜杣谷の戦い(再び)」で再現して
みたいと思います。
-----------------------------------------------------nad
●CHOCO様(元灘学びクミン・モスクワ在住演劇批評家)
「ある(あの)おっさん」の歌、知っています。でも、西灘小学校
でなかった私は、事もあろうに、御影のとある神社内にあった郡家
会館で、活動していたガールスカウト51団の手作り歌集で、それ
を見て替え歌して歌っていた記憶があります。でも、微妙に歌詞が
後退(?)しているようで、やや違うところがあるのです。
順序は忘れましたが、
あのおっさん、いいはった。なんや?
アメリカへ行ったとき。ふんふん。
ニューヨークで風呂に入り、
これがほんとの入浴。ふーん。
あのおっさん、いいはった。なんや?
ヒマラヤへ行ったとき。ふんふん。
火食い鳥に水の飲ませ、腹裂いて風呂にした。
ふーん。
けっこう何番かあった気がするのに、今はすぐに思い出せません。
でも、「おっさんは、すごく風呂にこだわる!」という強烈なイメ
ージが残っているのはたしかです。しかし、あの集団に灘の方がい
た覚えがなく(もしかするといたのかも?)どこかを経由して、伝
承されてきたのでしょう。ただ、割合お上品な家の子が多かった、
あのお嬢様予備軍で、(私は完全に外れたものの)こんな歌を歌っ
ていたことは、今考えると、やや驚きと、興奮に見舞われますね。
あんまり関係ありませんが、私も「おっさんの意志」を継いだのか、
この一年ほど、極寒のモスクワより演劇批評の修行中のため、拙い
メールマガジンなど出しております。関西人の視点、というとこを
強調しつつ、もちろん、神戸人、灘学び人、naddist的な感覚をフル
に回転させています。もし、ご興味ありそうな方、おられましたら、
ご一読お願いします。
(ロシア・天井桟敷HP)
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/5825/tenjousajiki.html
遠くモスクワより情報ありがとうございました。
「割合お上品な家の子が多かった、あのお嬢様予備軍」である
はずのガールスカウト51団は「火食い鳥に水飲ませ、腹裂い
て風呂に」するんですか?
私もある種の驚きと、興奮に見舞われました。
何か「悪ぶりたいいんだけど、考えオチにとらわれ過ぎ、ツボ
を外してしまった」という感じがとっても屈折してて「郡家」
って感じで、思わず抱き締めたくなります。また、この歌詞、
ボケとツッコミになっていない…。「ふーん」って終わられて
も…。おそらくバイオリンのお稽古で「道頓堀アワー」を見さ
せてもらえなかった、御影ガールの悲哀が感じられます。
CHOCO様はモスクワで演劇批評修行中とのこと。
やはり立ち飲みはウォッカですか?
-----------------------------------------------------nad
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● naddist NEWS ●
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● 潮風の誘惑 摩耶埠頭を渡る風ツアー開催! ●
今回の「さら灘」でも紹介された、普段あまり訪れる事はないけど、
とっても素敵な場所、摩耶埠頭・灘湾岸。
摩耶埠頭から新在家までの湾岸ツアーを来月開催する予定です。
21世紀初イベントとなります。奮ってご参加下さい。
日時:2月12日(祝)
14:00〜17:00
見所:市バス29系統をバスジャックして摩耶大橋越え、幻の短命
駅国鉄摩耶埠頭貨物駅跡、神戸製鋼引込線廃線跡散策、小野
田セメント、日石タンク見学、ナダハマガニ、ナダハマクラ
ゲ観察、灘区唯一の砂浜見学、ガントリークレーン早登り、
コンテナヤードかくれんぼ、ウルトラ警備隊ポインター停車
位置確認etc
詳細は次号にて。
参加ご希望の方は事前にnaddistまでメールでお知らせ下さい。
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お気軽に「町話」「感想」お寄せ下さい。
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・「なだっちゅーの」(読者お便りコーナー)への転載の可否
・転載の条件(匿名希望、ハンドル名等)
・現在住んでいる所(もしよろしければ)
・灘区との関わり(適当につけて下さい)
(例)元クミン:元灘区在住
現クミン:現灘区在住
(クミン=区民ではないので、他地区の方大歓迎)
等を明記して頂ければ幸いです。
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ご意見ご感想は eken@pp.iij4u.or.jp までお願いします。
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e-mail "eken@pp.iij4u.or.jp"
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