[040401-180]プロジェクトN〜灘の挑戦者達 01
投稿者: Nada 掲載日: 2004-4-1 (2497 回閲覧)
...n a d d i s t
...040401-180
...
...naddism Edit.
■CONTENTS======================================================
・プロジェクトN〜灘の挑戦者達 01
▼灘駅よ永遠に〜灘駅弁をめぐる灘人達の果てしなき闘い
・なんさんのナダ日記01
▼畑原市場の白魚
・なだっちゅーの!147
▼なだ いなだは・・・
・naddist NEWS(naddistからのお知らせ)
▼春らんまん「灘駅弁」いよいよ発売です。
▼naddistが読売新聞で紹介されました。
================================================================
風の中のすばる 砂の中の銀河
灘区の歴史と文明を劇的に変えるのは「プロジェクト」である。
満を持してお送りする、様々な「灘のプロジェクト」を紹介する
新シリーズ「プロジェクトN〜灘の挑戦者達」
第一話は手前味噌で申し訳ありませんが、いよいよ今週末発売される
灘駅弁です。
=================================プロジェクトN〜灘の挑戦者達 01
■灘駅よ永遠に〜灘駅弁をめぐる灘人達の果てしなき闘い
語り:灘口トモロヲ
平成16年、春。
JR灘駅の橋上化が決定された。
灘人達は愕然とした。
このままでは終わらせたくない。
誰もがそう思った。
灘駅のあのかわいい駅舎が壊されるのをこのままだまって見るだけで
いいのか?
お世話になった灘駅舎になにか我々でしてあげられる事はないのか?
naddist読者内に重苦しい空気が・・・漂った。
「そうだ!駅弁をつくってあげよう!一度も駅弁が売られることのなか
った灘駅舎のために、灘愛がつまった灘駅弁をつくってあげよう!」
声をあげたのは、
五毛(地車)ダンジリストの高羽乱麻だった。
急遽読者による「灘駅弁製作チーム」が結成され、熱い議論が始まった。
灘幕の内弁当。灘うなぎめし。灘洋食弁当。灘王子パンダ弁当。灘女子
高坂弁当。灘インド弁当・・・様々なアイデアが展開された。
「灘区にとことんこだわった食材がぎっしり詰まった花見駅弁にしよう!
まずは、都賀川のさくら祭りで販売してみよう!」
みんな・・・うなずいた。
しかしこれは序章でしかなかった。
当たり前だが、誰も駅弁なんて作ったことが・・・なかった。
しかもその数は・・・100食だった。
それは灘駅弁製作チームにとっては、天文学的な数字・・・だった。
その時だった。
「ウチに手伝わさせてください!」
東畑原市場、『新家』の店長、テルが名乗りをあげた。
「うちは元々寿司屋ですから、100食の仕出しは可能です!」
『新家』のオーナー、ヒロが力強く続けた。
こうして特別仕出し部隊「新家灘駅弁仕出しチーム」が結成された。
そしてまた新たなハードルにぶつかった。
桜まつりはオオヤケの祭りである。
そんなところで駅弁なんて勝手に売っていいはずが・・・なかった。
「昨年の『灘印良品』の実績があるから、いけると思いますよ!
実行委員会にかけあってみます!」
灘区役所、桜まつり担当のA係長だった。
みんな、ほっと胸をなでおろした。
さらに灘の様々なエピソードを元に、様々な灘食材が議論にあがった。
「下町グルメ、水道筋のコロッケははずせない!」
叫んだのは、灘駅舎研究の第一人者、ドクターフランキーだった。
「ソースだ!プリンセスソースが必要だ!」
そして、つけあわせの野菜にはケンコーマヨネーズも必要だ!」
開発主任のnaddistがたたみかけた。
しかし、市販のケンコーマヨネーズはボトルタイプ、弁当に入れるものは
非売品・・・だった。
開発陣は皆あせった。
そこに1通のメールが届いた。
「弁当用のマヨネーズ、無償で提供しましょう!!」
それは、都通のケンコーマヨネーズ神戸工場管理課からのメールだった。
みんなの目に光が・・・戻った。
「春の弁当には灘の春が感じられる、たき合わせが欲しい。
灘の湯葉を使った湯葉巻はどうか?」
しかし、販売当日は調理の時間が少ない。乾燥湯葉を戻している時間など
・・・なかった。
製作をあせって湯葉が破ける恐れも・・・あった。
開発陣は皆黙り込んだ。
「うちの半乾燥湯葉使ってください!生湯葉と乾燥湯葉の中間の食材です。
神戸南京町でも使っている業務用の湯葉なんです!これだと戻す時間は
いりませんし、破けません!」
神戸唯一の湯葉専門工場、徳井町の北山食品の社長が誇らし気に言った。
みんなの目に光が・・・戻った。
「都賀川の鰻をモチーフにした『鰻飯』を入れたい」
鰻は焼き立てがうまい。焼き立てに限る。
しかし『新家』には、当日大量の鰻を焼く設備など・・・なかった。
開発陣はため息をついた。
「うちで、朝一番で焼きますよ」
マイスター系、鰻の名店、大石南町『山信』の主人が、さらりと言った。
鰻が焼き立てなら和牛コロッケも揚げたてを!という声もあがった。
「まかしといて!朝一番で揚げるからっ!」
熾烈を極める、水道筋コロッケ界の東の雄、灘中央市場『土居精肉店』の
主人が笑顔で答えた。
みんなの目に光が・・・戻った。
こうして9品の試作品が完成し、いよいよ試食会の日を迎えた。
「この『西郷酒ゼリー桜のトンネル風』・・・ていうやつ?
もう少しぴりっとした色使いが欲しいわね・・・」
試食に駆け付けた、食にうるさい畑原通『ままや』のママだった。
開発スタッフは低く・・・唸った。
「・・・そうね、赤、ビビットな赤が欲しいわね・・・何がいいだろ?
そうだ!梅肉に蜂蜜混ぜたものを爪楊枝でピッと入れてみたらどう?」
naddistは膝をたたいた。
そうだ!青谷の梅園を忘れていた。
かつて青谷には梅園があったのだ。
東の「岡本梅園」と並び称された「青谷梅園」
灘の記憶の食材を彩りに使おうというのだ。
軽く霞んだゼリーを通して見える桜の花びら、そしてピッと添えられた
梅肉ジャム。これは、春の霞みの向こうに見える摩耶山の山桜、そして
記憶の風景である「青谷梅園」の鮮やかな赤を表している。
それは、初春から晩春にかけての灘山麓の記憶の風景に灘西郷の新酒の
香りが重ね合わされた灘の春の様相がレシピとして昇華した瞬間だった。
しかし大きな問題があった。
弁当のパッケージが見つからなかったのだ。
naddistはビジュアルにこだわった。
ある程度のビジュアルクオリティーは確保しなければ灘区民は納得しない。
そして、何より、灘にこだわった9品のおかずが美しく見えるパッケージ
でなくてはいけない。
パッケージ屋に問い合わせてみた。
「弁当箱?初めてのお客さんには、卸せないなぁ」
「うちのは、1個1500円だけど」
「300個からじゃないと売れないなぁ」
「お宅、何屋さん?審査に2週間はかかりますよ」
パッケージ業界は灘区に冷たかった。
どこからも冷たくあしらわれた。
どうする?
どこでどう仕入れれば良い?
開発陣は・・・途方に暮れた。
「うちで弁当箱、安く仕入れてあげますよ!協力しますよ!」
灘和菓子の名店『美吉堂』のおかみさんが、声をあげた。
正に救いの声で・・・あった。
開発スタッフ、仕出しスタッフ、灘企業、灘職人、灘おかみさん、灘主人、
灘区役所、みんなの灘愛が一つに・・・なった。
開発主任のnaddistは胸が熱く・・・なった。
そして「灘駅弁プロジェクト」の成功を深く・・・信じた。
その時だった。
naddist編集部の電話がなった。
「灘駅弁6つ予約します!」
「駅弁とっといてください、2つです」
「うちの分、8つね!」
「家族で食べるから3つお願いします」
それは灘駅弁発売の噂を聞きつけ、4月3日の発売日を待切れない、
灘区民からの予約電話・・・だった。
ヘッドラ〜イ テールラ〜イ・・・・・・・・・・・
時計は4月1日の午前11時を指していた。
4月3日の灘駅弁発売まで
あと48時間しか・・・なかった。
まだパッケージができて・・・なかった。
ヘッドラ〜イ テールラ〜イ・・・・・・・・・・・
(つづく)
※いよいよ限定発売!灘駅弁の詳細は下記naddistNEWSにて!
================================================================
またまた新シリーズ、夕食レシピ付レポート「なんさんのナダ日記」
をお送りいたします。
なにげない豊かでのどかな灘の日常を切り取った日記形式のミニミニ
コーナー。取材・執筆は、なん(現クミン)です。
=========================================== なんさんのナダ日記01
TEXT:なん
●3月3日 水曜日 晴れ
夕方、水道筋の畑原市場に行きました。
今日はお雛祭りだったので、市場のおじさんに菜の花や蛤やらを勧めら
れました。市場の真ん中あたり「ふな定」さんの前を通った時、大きな
透明の袋が、ぼこぼことありました。陳列台を大胆に占領しています。
空気でパンパンになっていて、下の方に4、5センチだけ水が入ってい
て、中で小さな白魚が沢山、元気よく泳いでいました。初物でした。
本当はすっかり釘付けでしたがちょっと迷っているふりをしました。
すると本当は1000円だったけど800円に負けてくれました。
早速抱きかかえて帰りました。帰りに菜の花と梅の枝を買ったら、手が
一杯で大変でした。
今日は勧められるままに買い物をしたら、それなりに献立が成立して
しまいました。やっぱり市場は良いです。
関西ではお雛祭りは4月3日なのでもう1回楽しめますね。
3月3日のレシピ
--------------
・まめごはん
・蛤のお吸い物
・菜の花のお浸し
・白魚の踊り食い(ポン酢と紅葉おろしで)多少かわいそう
・白魚の天婦羅 (塩で)あまりかわいそうではない
・酒
================================================================
naddistに頂いた、皆さんからのご意見ご感想や灘情報をご紹介する
「なだっちゅーの!」を、お送りいたします。
メールを下さった皆様、ありがとうございました。
→投稿はpostmaster@naddist.jpまで
=============================================なだっちゅーの!147
★[naddist 030220-177]で募集を開始しました「トリビアの泉通」系の
ネタをいただきました。
●安田圭一様(震災避難元クミンの現北区民)
こんにちはいつも楽しみにしています。
中学生の時、国語で「なだ いなだ」の作品を習ってその時、先生が
「なだ いなだ、とは『無い何も無い』という意味だ」
と言われていました。
調べてみたらスペイン語で「NADA」は無いでした。
スペイン語の熟語
http://www.nanzan-u.ac.jp/~ktaka/jukugo/0index.htm
NADA=無
http://www.nanzan-u.ac.jp/~ktaka/jukugo/n/nada.htm
そうです。確かにNADAには「無」という意味であり、スペインの
お墓には「NADA(無)」と書かれてあるそうです。
なんか妙に素敵ですよね。
--------------------------------------------------------nad
================================================================
● naddist NEWS ●
================================================================
●春らんまんクミン必食!桜の下で味わう灘の春「灘駅弁」発売です●
1月に始まった「灘駅再生プロジェクト」内のプチプロジェクト
「灘駅弁どうですプロジェクト(NDP)」ですが、すったもんだの試行
錯誤を経て、いよいよ、4月3日(土)の桜まつりで発売します。
(ひょっとしたら、「桜まつり」でしか食べられないかも。)
20センチ角の折りの中に、ひしめきあう9種の灘の味、味、味!
渾身の灘弁当に仕上がりました。
限定100食。さくら祭り特別価格1200円。
仕出しは元東畑原市場老舗寿司店(現創作料理の店)「新家」さんの
渾身のご協力をいただいた、本格的なお花見弁当です。
桜の下 舌で味わう 灘の春
買ってください。食べてください。笑ってください。
■日時:4月3日(土)11時〜2時ごろ
■場所:なだ桜まつり会場
(都賀川公園:金沢病院西側 市バス灘区役所前下車)
特設ステージ横 向かって右 灘百選の会ブースにて販売
■価格:さくら祭り特価1200円(税込)
■販売数:限定100食
口コミで、すでに30食ほどの取り置き注文がはいっています。
婦人会を中心に(笑)かなり早いペースで売り切れることが予想され
ますので、食べたい方はnaddistへの事前予約をお薦めいたします。
→予約はpostmaster@naddist.jpまで
■これが灘駅弁の全貌だ!
【青谷茶飯】
明治二十年ごろ、灘区原田通から中央区にかけては茶の産地でした。
その面影を今に伝える神戸でたった一つの茶園が青谷の静香園さん。
間もなく新茶の季節。そんな懐かしい灘の静香茶の香りをふっくらと
炊き込みました。香の物も、もちろん灘物、沢の鶴さんの自家製奈良
漬(ちまたに出回っている輸入野菜を使ったものとはひと味違います)
をトッピング。灘の山の味と浜の味の絶妙のコラボレーションです。
【水道筋コロッケプリンセスソース&ケンコーマヨネーズ添え】
大正十年、灘区に水道管が引かれ、その上にできた道が水道筋。大正七
年に畑原市場、大正十四年に灘中央市場と水道筋商店街ができ、かいわ
いは神戸市内有数の商業地になりました。数ある逸品の中から下町の味、
土居精肉店さんの特製神戸牛コロッケに灘の地ソース、プリンセスソース
(特製ミニボトル)と地マヨネーズ(希少ランチタイプ)、ケンコー
マヨネーズまで添えちゃいました。
【サゴシのソテツ味噌焼き】
灘には妙善寺や灘駅、西灘小学校の学校樹など樹齢百年を超える立派な
そてつがあちこちにあります。また、灘区には南島方面を故郷にもつ方
々が多くいらっしゃいます。そんな灘の名木「そてつ」をテーマに、奄
美名産のそてつ味噌を春の旬魚、鰆のちびっ子、さごしに塗ってこんが
りと焼き上げた南島の春が香る一品です。
【都賀川桜飯】
灘には桜のつく地名がいくつかあります。例えば桜口。昔西国街道沿い
にあった桜にちなむ地名です。また桜は「灘区の木」でもあります。
「都賀川」「桜のトンネル」「うこんの桜」「王子動物園」など桜の
名所も数多く存在します。灘の春をイメージして、塩漬けの桜を炊き
たてのご飯に混ぜた、たおやかな一品です。
【徳井湯葉のたき合わせ】
豆の好きの灘人なら、知っていないといけない食べ物といえば。湯葉です。
え?湯葉って京都では?そんな風に思われる方が多いかもしれません。
なんと神戸に一軒しかない湯葉専門店が灘区にあります。石屋川の近く
にある北山食品さん。南京町の中華料理食材としてもひっぱりだこ
「北山特製半乾燥湯葉」を使用。京都の湯葉とは一味違う灘の湯葉を
是非ご賞味ください。
【ナダハマ菜の花のおひたし】
与謝蕪村の「菜の花や月は東に日は西に」という有名な俳句は灘区内で
詠まれたものだといわれています。また「水車新田」の地名も残ってい
るように、灘は水車による菜種油の生産が盛んなまちでした。そんな灘
区の歴史の花、菜の花。のんびりとした灘の春をしみじみ感じることの
できる灘の歴史の味です。
【岩屋ドロメンと桜海老のかきあげ】
灘に白砂青松の美しい砂浜の海岸があったころ、岩屋や味泥の浜では
漁業が行われていました。そこで取れた魚が「ドロメン(鰯の子)」
です。岩屋の煮干しはブランドものだったのです。浜のあちらこちらで、
とれたジャコを干す風景が見られました。そんな古(いにしえ)の灘の
潮の香りを新子のかき揚げで表現しました。
【大石鰻飯】
かつて都賀川にも鰻がいました。その都賀川の下流、大石南町は樽職人
や菰職人、丹波杜氏などの酒造り系職人が闊歩する正に「マイスタータ
ウン」でした。この街にに職人気質の鰻屋さんがあります。
naddistでブレイクした「うなぎの山信」。
山信の工房でふんわりと焼き上がった鰻は、まるで洋菓子のよう。
まさに灘マイスターの味です。
【西郷酒ゼリー桜のトンネル風】
ご存知、灘区には酒の本場、灘五郷の西の端に位置する西郷があり、
街中にはお酒のいい匂いがただよっていました。灘の歴史食材でもある
お酒を使ったゼリーをつくってみました。ゼリーを通してうっすらと見
える桜の花びらは、春のかすみの向こうに見える六甲山の山桜をイメー
ジしています。
企画・販売:naddist(灘駅弁開発チーム)・灘印良品
製作:創作料理の店 新家
協力:うなぎの山信
北山食品株式会社
ケンコーマヨネーズ株式会社
沢の鶴株式会社
静香園
土居精肉店
プリンセスソース本舗・平山食品
美吉堂
灘百選の会
● naddistが読売新聞で紹介されました ●
もうご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、3月22日(月)の
読売新聞朝刊「総支局から」というコラムで「メルマガで思い共有」
と題してnaddistが紹介されました。
================================================================
naddist発行の「美吉堂の六甲パイ」は皆様からのメールです。
お気軽に「町話」「感想」お寄せ下さい。
naddistへ、ご意見ご感想、情報メールをお送り頂く時は、
・「なだっちゅーの」(読者お便りコーナー)への転載の可否
・転載の条件(匿名希望、ハンドル名等、URL載せる事も可能です)
・現在住んでいる所(もしよろしければ)
・灘区との関わり(適当につけて下さい)
(例)元クミン:元灘区在住
現クミン:現灘区在住
(クミン=区民ではないので、他地区の方大歓迎)
等を明記して頂ければ幸いです。
----------------------------------------------------------------
もう駅弁なんて作りたくないと・・・思った。
----------------------------------------------------------------
ご意見ご感想は postmaster@naddist.jp までお願いします。
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naddist [Kapsel naddism] 0000009510
produced by "naddism Edit."(@parabolart)
e-mail "postmaster@naddist.jp"
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powered by "magmag" www.mag2.com
...040401-180
...
...naddism Edit.
■CONTENTS======================================================
・プロジェクトN〜灘の挑戦者達 01
▼灘駅よ永遠に〜灘駅弁をめぐる灘人達の果てしなき闘い
・なんさんのナダ日記01
▼畑原市場の白魚
・なだっちゅーの!147
▼なだ いなだは・・・
・naddist NEWS(naddistからのお知らせ)
▼春らんまん「灘駅弁」いよいよ発売です。
▼naddistが読売新聞で紹介されました。
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風の中のすばる 砂の中の銀河
灘区の歴史と文明を劇的に変えるのは「プロジェクト」である。
満を持してお送りする、様々な「灘のプロジェクト」を紹介する
新シリーズ「プロジェクトN〜灘の挑戦者達」
第一話は手前味噌で申し訳ありませんが、いよいよ今週末発売される
灘駅弁です。
=================================プロジェクトN〜灘の挑戦者達 01
■灘駅よ永遠に〜灘駅弁をめぐる灘人達の果てしなき闘い
語り:灘口トモロヲ
平成16年、春。
JR灘駅の橋上化が決定された。
灘人達は愕然とした。
このままでは終わらせたくない。
誰もがそう思った。
灘駅のあのかわいい駅舎が壊されるのをこのままだまって見るだけで
いいのか?
お世話になった灘駅舎になにか我々でしてあげられる事はないのか?
naddist読者内に重苦しい空気が・・・漂った。
「そうだ!駅弁をつくってあげよう!一度も駅弁が売られることのなか
った灘駅舎のために、灘愛がつまった灘駅弁をつくってあげよう!」
声をあげたのは、
五毛(地車)ダンジリストの高羽乱麻だった。
急遽読者による「灘駅弁製作チーム」が結成され、熱い議論が始まった。
灘幕の内弁当。灘うなぎめし。灘洋食弁当。灘王子パンダ弁当。灘女子
高坂弁当。灘インド弁当・・・様々なアイデアが展開された。
「灘区にとことんこだわった食材がぎっしり詰まった花見駅弁にしよう!
まずは、都賀川のさくら祭りで販売してみよう!」
みんな・・・うなずいた。
しかしこれは序章でしかなかった。
当たり前だが、誰も駅弁なんて作ったことが・・・なかった。
しかもその数は・・・100食だった。
それは灘駅弁製作チームにとっては、天文学的な数字・・・だった。
その時だった。
「ウチに手伝わさせてください!」
東畑原市場、『新家』の店長、テルが名乗りをあげた。
「うちは元々寿司屋ですから、100食の仕出しは可能です!」
『新家』のオーナー、ヒロが力強く続けた。
こうして特別仕出し部隊「新家灘駅弁仕出しチーム」が結成された。
そしてまた新たなハードルにぶつかった。
桜まつりはオオヤケの祭りである。
そんなところで駅弁なんて勝手に売っていいはずが・・・なかった。
「昨年の『灘印良品』の実績があるから、いけると思いますよ!
実行委員会にかけあってみます!」
灘区役所、桜まつり担当のA係長だった。
みんな、ほっと胸をなでおろした。
さらに灘の様々なエピソードを元に、様々な灘食材が議論にあがった。
「下町グルメ、水道筋のコロッケははずせない!」
叫んだのは、灘駅舎研究の第一人者、ドクターフランキーだった。
「ソースだ!プリンセスソースが必要だ!」
そして、つけあわせの野菜にはケンコーマヨネーズも必要だ!」
開発主任のnaddistがたたみかけた。
しかし、市販のケンコーマヨネーズはボトルタイプ、弁当に入れるものは
非売品・・・だった。
開発陣は皆あせった。
そこに1通のメールが届いた。
「弁当用のマヨネーズ、無償で提供しましょう!!」
それは、都通のケンコーマヨネーズ神戸工場管理課からのメールだった。
みんなの目に光が・・・戻った。
「春の弁当には灘の春が感じられる、たき合わせが欲しい。
灘の湯葉を使った湯葉巻はどうか?」
しかし、販売当日は調理の時間が少ない。乾燥湯葉を戻している時間など
・・・なかった。
製作をあせって湯葉が破ける恐れも・・・あった。
開発陣は皆黙り込んだ。
「うちの半乾燥湯葉使ってください!生湯葉と乾燥湯葉の中間の食材です。
神戸南京町でも使っている業務用の湯葉なんです!これだと戻す時間は
いりませんし、破けません!」
神戸唯一の湯葉専門工場、徳井町の北山食品の社長が誇らし気に言った。
みんなの目に光が・・・戻った。
「都賀川の鰻をモチーフにした『鰻飯』を入れたい」
鰻は焼き立てがうまい。焼き立てに限る。
しかし『新家』には、当日大量の鰻を焼く設備など・・・なかった。
開発陣はため息をついた。
「うちで、朝一番で焼きますよ」
マイスター系、鰻の名店、大石南町『山信』の主人が、さらりと言った。
鰻が焼き立てなら和牛コロッケも揚げたてを!という声もあがった。
「まかしといて!朝一番で揚げるからっ!」
熾烈を極める、水道筋コロッケ界の東の雄、灘中央市場『土居精肉店』の
主人が笑顔で答えた。
みんなの目に光が・・・戻った。
こうして9品の試作品が完成し、いよいよ試食会の日を迎えた。
「この『西郷酒ゼリー桜のトンネル風』・・・ていうやつ?
もう少しぴりっとした色使いが欲しいわね・・・」
試食に駆け付けた、食にうるさい畑原通『ままや』のママだった。
開発スタッフは低く・・・唸った。
「・・・そうね、赤、ビビットな赤が欲しいわね・・・何がいいだろ?
そうだ!梅肉に蜂蜜混ぜたものを爪楊枝でピッと入れてみたらどう?」
naddistは膝をたたいた。
そうだ!青谷の梅園を忘れていた。
かつて青谷には梅園があったのだ。
東の「岡本梅園」と並び称された「青谷梅園」
灘の記憶の食材を彩りに使おうというのだ。
軽く霞んだゼリーを通して見える桜の花びら、そしてピッと添えられた
梅肉ジャム。これは、春の霞みの向こうに見える摩耶山の山桜、そして
記憶の風景である「青谷梅園」の鮮やかな赤を表している。
それは、初春から晩春にかけての灘山麓の記憶の風景に灘西郷の新酒の
香りが重ね合わされた灘の春の様相がレシピとして昇華した瞬間だった。
しかし大きな問題があった。
弁当のパッケージが見つからなかったのだ。
naddistはビジュアルにこだわった。
ある程度のビジュアルクオリティーは確保しなければ灘区民は納得しない。
そして、何より、灘にこだわった9品のおかずが美しく見えるパッケージ
でなくてはいけない。
パッケージ屋に問い合わせてみた。
「弁当箱?初めてのお客さんには、卸せないなぁ」
「うちのは、1個1500円だけど」
「300個からじゃないと売れないなぁ」
「お宅、何屋さん?審査に2週間はかかりますよ」
パッケージ業界は灘区に冷たかった。
どこからも冷たくあしらわれた。
どうする?
どこでどう仕入れれば良い?
開発陣は・・・途方に暮れた。
「うちで弁当箱、安く仕入れてあげますよ!協力しますよ!」
灘和菓子の名店『美吉堂』のおかみさんが、声をあげた。
正に救いの声で・・・あった。
開発スタッフ、仕出しスタッフ、灘企業、灘職人、灘おかみさん、灘主人、
灘区役所、みんなの灘愛が一つに・・・なった。
開発主任のnaddistは胸が熱く・・・なった。
そして「灘駅弁プロジェクト」の成功を深く・・・信じた。
その時だった。
naddist編集部の電話がなった。
「灘駅弁6つ予約します!」
「駅弁とっといてください、2つです」
「うちの分、8つね!」
「家族で食べるから3つお願いします」
それは灘駅弁発売の噂を聞きつけ、4月3日の発売日を待切れない、
灘区民からの予約電話・・・だった。
ヘッドラ〜イ テールラ〜イ・・・・・・・・・・・
時計は4月1日の午前11時を指していた。
4月3日の灘駅弁発売まで
あと48時間しか・・・なかった。
まだパッケージができて・・・なかった。
ヘッドラ〜イ テールラ〜イ・・・・・・・・・・・
(つづく)
※いよいよ限定発売!灘駅弁の詳細は下記naddistNEWSにて!
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またまた新シリーズ、夕食レシピ付レポート「なんさんのナダ日記」
をお送りいたします。
なにげない豊かでのどかな灘の日常を切り取った日記形式のミニミニ
コーナー。取材・執筆は、なん(現クミン)です。
=========================================== なんさんのナダ日記01
TEXT:なん
●3月3日 水曜日 晴れ
夕方、水道筋の畑原市場に行きました。
今日はお雛祭りだったので、市場のおじさんに菜の花や蛤やらを勧めら
れました。市場の真ん中あたり「ふな定」さんの前を通った時、大きな
透明の袋が、ぼこぼことありました。陳列台を大胆に占領しています。
空気でパンパンになっていて、下の方に4、5センチだけ水が入ってい
て、中で小さな白魚が沢山、元気よく泳いでいました。初物でした。
本当はすっかり釘付けでしたがちょっと迷っているふりをしました。
すると本当は1000円だったけど800円に負けてくれました。
早速抱きかかえて帰りました。帰りに菜の花と梅の枝を買ったら、手が
一杯で大変でした。
今日は勧められるままに買い物をしたら、それなりに献立が成立して
しまいました。やっぱり市場は良いです。
関西ではお雛祭りは4月3日なのでもう1回楽しめますね。
3月3日のレシピ
--------------
・まめごはん
・蛤のお吸い物
・菜の花のお浸し
・白魚の踊り食い(ポン酢と紅葉おろしで)多少かわいそう
・白魚の天婦羅 (塩で)あまりかわいそうではない
・酒
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naddistに頂いた、皆さんからのご意見ご感想や灘情報をご紹介する
「なだっちゅーの!」を、お送りいたします。
メールを下さった皆様、ありがとうございました。
→投稿はpostmaster@naddist.jpまで
=============================================なだっちゅーの!147
★[naddist 030220-177]で募集を開始しました「トリビアの泉通」系の
ネタをいただきました。
●安田圭一様(震災避難元クミンの現北区民)
こんにちはいつも楽しみにしています。
中学生の時、国語で「なだ いなだ」の作品を習ってその時、先生が
「なだ いなだ、とは『無い何も無い』という意味だ」
と言われていました。
調べてみたらスペイン語で「NADA」は無いでした。
スペイン語の熟語
http://www.nanzan-u.ac.jp/~ktaka/jukugo/0index.htm
NADA=無
http://www.nanzan-u.ac.jp/~ktaka/jukugo/n/nada.htm
そうです。確かにNADAには「無」という意味であり、スペインの
お墓には「NADA(無)」と書かれてあるそうです。
なんか妙に素敵ですよね。
--------------------------------------------------------nad
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● naddist NEWS ●
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●春らんまんクミン必食!桜の下で味わう灘の春「灘駅弁」発売です●
1月に始まった「灘駅再生プロジェクト」内のプチプロジェクト
「灘駅弁どうですプロジェクト(NDP)」ですが、すったもんだの試行
錯誤を経て、いよいよ、4月3日(土)の桜まつりで発売します。
(ひょっとしたら、「桜まつり」でしか食べられないかも。)
20センチ角の折りの中に、ひしめきあう9種の灘の味、味、味!
渾身の灘弁当に仕上がりました。
限定100食。さくら祭り特別価格1200円。
仕出しは元東畑原市場老舗寿司店(現創作料理の店)「新家」さんの
渾身のご協力をいただいた、本格的なお花見弁当です。
桜の下 舌で味わう 灘の春
買ってください。食べてください。笑ってください。
■日時:4月3日(土)11時〜2時ごろ
■場所:なだ桜まつり会場
(都賀川公園:金沢病院西側 市バス灘区役所前下車)
特設ステージ横 向かって右 灘百選の会ブースにて販売
■価格:さくら祭り特価1200円(税込)
■販売数:限定100食
口コミで、すでに30食ほどの取り置き注文がはいっています。
婦人会を中心に(笑)かなり早いペースで売り切れることが予想され
ますので、食べたい方はnaddistへの事前予約をお薦めいたします。
→予約はpostmaster@naddist.jpまで
■これが灘駅弁の全貌だ!
【青谷茶飯】
明治二十年ごろ、灘区原田通から中央区にかけては茶の産地でした。
その面影を今に伝える神戸でたった一つの茶園が青谷の静香園さん。
間もなく新茶の季節。そんな懐かしい灘の静香茶の香りをふっくらと
炊き込みました。香の物も、もちろん灘物、沢の鶴さんの自家製奈良
漬(ちまたに出回っている輸入野菜を使ったものとはひと味違います)
をトッピング。灘の山の味と浜の味の絶妙のコラボレーションです。
【水道筋コロッケプリンセスソース&ケンコーマヨネーズ添え】
大正十年、灘区に水道管が引かれ、その上にできた道が水道筋。大正七
年に畑原市場、大正十四年に灘中央市場と水道筋商店街ができ、かいわ
いは神戸市内有数の商業地になりました。数ある逸品の中から下町の味、
土居精肉店さんの特製神戸牛コロッケに灘の地ソース、プリンセスソース
(特製ミニボトル)と地マヨネーズ(希少ランチタイプ)、ケンコー
マヨネーズまで添えちゃいました。
【サゴシのソテツ味噌焼き】
灘には妙善寺や灘駅、西灘小学校の学校樹など樹齢百年を超える立派な
そてつがあちこちにあります。また、灘区には南島方面を故郷にもつ方
々が多くいらっしゃいます。そんな灘の名木「そてつ」をテーマに、奄
美名産のそてつ味噌を春の旬魚、鰆のちびっ子、さごしに塗ってこんが
りと焼き上げた南島の春が香る一品です。
【都賀川桜飯】
灘には桜のつく地名がいくつかあります。例えば桜口。昔西国街道沿い
にあった桜にちなむ地名です。また桜は「灘区の木」でもあります。
「都賀川」「桜のトンネル」「うこんの桜」「王子動物園」など桜の
名所も数多く存在します。灘の春をイメージして、塩漬けの桜を炊き
たてのご飯に混ぜた、たおやかな一品です。
【徳井湯葉のたき合わせ】
豆の好きの灘人なら、知っていないといけない食べ物といえば。湯葉です。
え?湯葉って京都では?そんな風に思われる方が多いかもしれません。
なんと神戸に一軒しかない湯葉専門店が灘区にあります。石屋川の近く
にある北山食品さん。南京町の中華料理食材としてもひっぱりだこ
「北山特製半乾燥湯葉」を使用。京都の湯葉とは一味違う灘の湯葉を
是非ご賞味ください。
【ナダハマ菜の花のおひたし】
与謝蕪村の「菜の花や月は東に日は西に」という有名な俳句は灘区内で
詠まれたものだといわれています。また「水車新田」の地名も残ってい
るように、灘は水車による菜種油の生産が盛んなまちでした。そんな灘
区の歴史の花、菜の花。のんびりとした灘の春をしみじみ感じることの
できる灘の歴史の味です。
【岩屋ドロメンと桜海老のかきあげ】
灘に白砂青松の美しい砂浜の海岸があったころ、岩屋や味泥の浜では
漁業が行われていました。そこで取れた魚が「ドロメン(鰯の子)」
です。岩屋の煮干しはブランドものだったのです。浜のあちらこちらで、
とれたジャコを干す風景が見られました。そんな古(いにしえ)の灘の
潮の香りを新子のかき揚げで表現しました。
【大石鰻飯】
かつて都賀川にも鰻がいました。その都賀川の下流、大石南町は樽職人
や菰職人、丹波杜氏などの酒造り系職人が闊歩する正に「マイスタータ
ウン」でした。この街にに職人気質の鰻屋さんがあります。
naddistでブレイクした「うなぎの山信」。
山信の工房でふんわりと焼き上がった鰻は、まるで洋菓子のよう。
まさに灘マイスターの味です。
【西郷酒ゼリー桜のトンネル風】
ご存知、灘区には酒の本場、灘五郷の西の端に位置する西郷があり、
街中にはお酒のいい匂いがただよっていました。灘の歴史食材でもある
お酒を使ったゼリーをつくってみました。ゼリーを通してうっすらと見
える桜の花びらは、春のかすみの向こうに見える六甲山の山桜をイメー
ジしています。
企画・販売:naddist(灘駅弁開発チーム)・灘印良品
製作:創作料理の店 新家
協力:うなぎの山信
北山食品株式会社
ケンコーマヨネーズ株式会社
沢の鶴株式会社
静香園
土居精肉店
プリンセスソース本舗・平山食品
美吉堂
灘百選の会
● naddistが読売新聞で紹介されました ●
もうご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、3月22日(月)の
読売新聞朝刊「総支局から」というコラムで「メルマガで思い共有」
と題してnaddistが紹介されました。
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もう駅弁なんて作りたくないと・・・思った。
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