[020210-115]宮前マジックドラゴン【灘の細道 11】
投稿者: Naddist 掲載日: 2002-2-10 (2384 回閲覧)
...n a d d i s t
...020210-115
...
...naddism Edit.
■CONTENTS==================================================
・灘の細道11
宮前マジックドラゴン
・なだっちゅーの!91
▼広島で「コロッケと・・・」
▼閉店情報
▼リアルラビット+鬼の面
▼「さら灘」復活?
・naddist NEWS(naddistからのお知らせ)
「東畑原伝説の元寿司屋」新家ライブ
============================================================
前回「灘の細道」をお送りしたのは5ヶ月も前。早いものです。
てことで、今回は灘のちょいといい小道をレポートするシリーズ
「灘の細道」をお送りいたします。第11話は、灘の巨大生物の
お腹の中のような道の話です。
=================================================灘の細道 11
■宮前マジックドラゴン
TEXT:naddist
「ピノッキオ、ピノッキオ、ピノピノピノピノピノッキオ〜」
幼稚園のとき、学芸会でピノキオをやった時の疑問。
「鯨のお腹の中ってどうなってんねん?」
絵本で見るとなんかあばら骨でできた暗いトンネル。
「結構広いし、基地みたいでええやん!」
胃はないのか!それに十二支腸は!
そんなツッコミを入れる知識もない私は、この鯨の腹の中空間に
あこがれていました。
その後小学校に入り、駄菓子屋で「鯨カツ」食べつつも、給食で
「鯨肉のノルウェー風」食べつつも、須磨水族館のホールにあっ
た「シャチ骨格標本」を見つつも「鯨のお腹の中はあばら骨に囲
まれた巨大な空間」というイメージはそのままでした。
そんな私が現実の世界で「鯨のお腹の中はこんなんかもしれない」
とアタリをつけたのが、灘の町にあったアーケード。
あばら骨のようなたくさんの骨組みに支えられた屋根。交錯する
トラスに張られた皮膚のようなトタン膜。
なにより外部からアーケードに入った時のゾクゾク感。
「外部空間なのにやさしい生物体内感」を感じるのです。
もしかすると夜になるとミシミシ動き出すのではないか?とも思
えるその生物感は子供心を、いや大人心をもわくわくさせてくれ
る、巨大生物的町構造物なのです。
区画整理工事で騒がしい六甲道の北には南北に通る2本のアーケ
ードがあります。「六甲本通商店街アーケード」(注1)とその
西の「宮前商店街アーケード」(注2)
八幡神社の厄神さん(注3)の帰り「宮前商店街アーケード」をい
つものように天井を眺めながら、ぶらぶらと歩いていました。
ここのアーケードは昔ながら味のある「あばら骨むき出しタイプ」
なのです。
無骨な骨格。
のどちんこのような照明器具がブーラブラ。
小骨のようなアンドン看板がズラリ。
皮膚のようなトタン外装。
最近設計されたアーケードはこの「生物感」を隠すことで、魅力
を失っているのではないでしょうか?
「こぎれいなインテリア感」の演出にとらわれ、アーケードの魅
力の一つであるいきいきとした体内感、生物感が全く考慮されて
いないよなあ…そんな事を考えながら歩いていたら、
ふとある事に気付きました。
アーケードは細長いトンネルのような空間です。この長さは鯨の
腹というよりも…なんだろう…まてよ…
あ…そうだ、これは竜の腹の中かもしれない。
そうだこれは、竜なのだ。灘風水思想に基づく竜なのだ。
灘の町の繁栄は、この竜がいたからなのだ!
水道筋、灘センター、灘中央筋の3つのアーケードが交錯する
水道筋界隈は、さしずめ「キングギドラ状態」かもなのだ!(注4)
で、この「宮前商店街アーケード」は規模こそ小さいが、灘竜の
中の灘竜、八幡神社へ続く参道を守る、みどりの鱗の魔法の竜、
「宮前マジックドラゴン」なのだ!
昭和34年に生まれた宮前ドラゴンは、震災にも耐え今年43才。
しかし、厄神さんの終わった今年2002年1月末、ついに宮前ドラ
ゴン撤去工事が始まりました。
嗚呼!!八幡ドラゴン(注5)に続き灘のドラゴン消滅か!?
私はカメラとビデオを持って宮前商店街に向かいました。
取り壊しを眺めていた、仮設店舗のおじさんに尋ねました。
「こ、これ全部壊すんすか?」
「あんた、この辺の人か?」
「この辺といえばこの辺やけど、この辺じゃないと言えばこの
辺じゃないねんけど、この辺りは昔から…」
私の煮え切らない自己紹介が終わらない内に、おじさんは地面
に石ころで図を書きながら説明してくれました。
「アーケード壊すのは南側だけやねん。そう、そこまで。そこ
から南は太い道になるねん。ほんでこの裏に8000平米の公園
できるねん。どない思う?このアーケードかて震災後、修理した
んやで。どない思う?北半分のアーケードは取りあえず残るねん
けど、この先どうなるかわからへんねん。これで8割復興なんて
よういうわ。ここいらようさん燃えたし、店も殆ど仮設やろ……
…どない思う?」
アーケードが半分でも残るうれしさと、つらい現実の狭間。
おじさんといっしょにアーケード撤去工事をじっと見守りました。
無残にその腹を喰破られ、「みどりの鱗」が剥がされ、断末魔の
叫びをあげているかのような宮前ドラゴン。
「今日撮ってたビデオや写真また見せてなぁ」
「また持ってきます」
アーケードをむしり取られ、12mの道路になってしまう部分。
そこを散歩していた時に、もし雨が降ってきたとしても、私は傘
をささないつもりです。私の心の中には、雨が降る日も日差しが
強い日も雪の降る寒い日も、町の傘になってくれていた、あの心
やさしい、そうPPMの『パフ』(注6)のような宮前マジックドラ
ゴンが、あの場所にいつまでもいてくれるはずですから。
(おわり)
【宮前マジックドラゴン】
六甲町1丁目
JR六甲道より北西徒歩3分
注1:六甲八幡神社厄除大祭は、1/18・19
湯立ての神事が盛り上がる。
注2:六甲本通アーケード南入口
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/tani/0702.html
(震災文庫デジタルギャラリー c1995 谷通好)
注3:宮前アーケード南入口(震災後)
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/shindo/Jap/Photo/PhotoV2043.html
(震災文庫デジタルギャラリー
c1995 進藤裕之 写真/キャプション)
注4:水道筋キングギドラ状態平面図
http://www.net-kobe.com/suisui/map.html
注5:八幡ドラゴン
2号線桜口交差点近く(現パニエ東の南北の通り)にあった
八幡商店街アーケード
注6:『パフ』
歌:ピーター・ポール&マリー
作詞・作曲:P.ヤーロウ, L.リプトン
http://www.zakkyo.net/yokocho/karunia/karuniap.htm
(【笑説】カルニア国物語)
※「灘の写真を」というご意見があったので参考リンクを張って
みました。自前のHPないので…。
また区内の地図に関しては以下をご利用ください。重いですけど。
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/15/020/99/82/what/map.html
(灘区公式HP i-nadaより)
============================================================
naddistに頂いた、皆さんからのご意見ご感想や灘情報を
ご紹介する「なだっちゅーの!」を、お送りいたします。
メールを下さった皆様、ありがとうございました。
==========================================なだっちゅーの!91
●いしかわ様(元居住&学びクミン)
広島そごうの地下街を歩いていると
怪しげな看板が・・・
「コロッケと・・・」
えっ? まさかM野屋のコピーのぱくりでは?
と驚きよくよく見てみると,
なんと正真正銘M野屋さんの支店でした.
さっそくミートコロッケ65円を購入.
ひと時なつかしい灘に戻ったような気になりました.
それにしても,
遠い広島のデパ地下に支店を出すほどの店だったのですね.
おそるべしM野屋.
ひ、広島ですか!水野屋さんもいっぱい店出してますね。
一昔前のハイジさんを思い出します。
あれ?5円高くないですか?水道筋本店は60円だったような。
70円だっけ? ま、いっか。
-----------------------------------------------------nad
●うさぎ様(現クミン)
残念な事なのですが、旧「ぼくのふらいぱん」の北がわにあった洋
食やさん「エントリーブル」が1月いっぱいで閉店してしまいまし
た。ミレーなくなったあの筋は何か支えを失ってしまったんでしょ
うかね。閉店が目立ちますね。
六甲口クラブミレー周辺閉店スパイラル。そう言われれば、そ
んな感じしますね。「エントリーブル」さんの季節のカレー、
春バージョン食べずじまいでした。無念。
-----------------------------------------------------nad
●都賀川の娘様(サラブレッドクミン)
2月に入ってしまいました。
節分ですね。
今日あのホザナ幼稚園リアルラビット号に乗った園生が、
鬼のお面をつけているのをみて、
「ああ、節分かあ」と思うのと同時に、
なんちゅうシュールな乗りもんや・・・と気が遠くなりました。
リアルラビット+鬼の面ですか。卒倒もんですね。
パンダより灘っぽくてグッドです。
豆くらいまいたれや、灘ジャンキーパンダ君。
とりあえずサンナッツ提供カシューナッツあたりいっとけや。
あら、パンダのり巻きは巻いたのね、水道筋1丁目の皆さん。
でももうそろそろ、しんどいかもねえ。
やっぱ来年は「リアルラビット巻きでギネスに挑戦」でしょう。
ちなみに灘区は知られざる「豆の町」…なのだ。
-----------------------------------------------------nad
●DECO様(元・学遊飲住愛憎喜怒哀楽クミン)
アンケート拝見しました。
「さら灘」がしぶとく残っていて大変光栄です。
ありがとうございます。
今のところ、復活の予定はありませんが、
「愛と幻想のナディズム」という名の「二番煎じ」はあり得るかも
しれません。
今夜、僕は「原子心母」を子守唄に、床につくと思います。
では。
昨年惜しまれつつ終了したコラム「さらば愛しき灘よ」の作者
DECOさんから期待の持てるメールをいただきました。
どうかよろしくお願いします。ここ最近は私の拙い文章ばかり
で、皆さん飽きているかと思われます。帰ってきてね「さら灘」
-----------------------------------------------------nad
============================================================
● naddist NEWS ●
============================================================
● 「東畑原伝説の元寿司屋」新家ライブレポート ●
naddist NEWSでもお知らせしておりました、市場内でストリートラ
イブ、水道筋東畑原市場の創作家庭料理の店「新家」プロデュース
「新家ライブ」がいよいよ2月3日スタートしました。
(神戸新聞2月6日の神戸版でも紹介されました)
いやはや「六甲伝説の幌馬車」「徳井伝説の猫」に続き「東畑原伝
説の元寿司屋さん」の誕生なんです。
(新家さんは元々は代々続く元お寿司屋さんなのです)
当日は扉を外し市場の通路とつながり、まるでポケットパークのよ
うな空間に。ストリートライブなので、無料。というか気に入れば
チップをという例のスタイル。
違和感は全く感じませんでした。
むしろ空間、素材とも市場本来の特性をうまく継承発展させたって
いう印象です。もともと市場の対面販売は、スーパーなどに比べ
お客さんとの距離が非常に近いのですが、その親密な距離間がアコ
ースティックのライブにもドンピシャ、新鮮な豆腐や魚がとれとれ
の生音に変わったという感じ。
いや、そんでそんでバンドも良かった!
当日の出演は「Tenderfeet(http://www.Tenderfeet.net)」のボー
カル、アコギ、ウッドベースのユニット(いつもはピアノとドラム
が入って5人)。当日メンバーの内二人が、灘が世界に誇る音楽学校、
甲陽音楽学院の学生さんです。
そんでボーカルの竹下咲さん、マイクなしで歌う歌う!
「東畑原の歌姫」いや「奄美市場のディーバ」って感じでとっても
よかったです。
日曜日の市場ショッピングの楽しみがまた一つ増えました。
早速感想も寄せられていますのでご紹介します。
------------------------------------------------------------
●ドクターフランキー様(北隣クミン)
最初に新家に着いたとき、「んっ、ボーカルの人のPAは?」
と心配していたが、いらぬ心配でした。ほんまもんのボーカルの神
髄を堪能しました。(歌は全身を楽器にして唄うもんだということ
を「復習」しました。)
本当の意味のunpluged liveは、あれぐらいのスペースが良いんでは
ないでしょうか。
今後も、市場ライブ、楽しみにしたいと思います。
------------------------------------------------------------
買い物ついでに、豆腐屋さんのソップを飲みながら、あるいはコロ
ッケかじりながら、あるいはきくらげの天プラ、いや寒ブリ噛りな
がらでもいいんですけど、アコースティックライブを聞くってのが、
とっても「灘の休日昼下がりの市場」な感じです。
その後、西灘シネマで映画見て、灘温泉入って、串かつ食べれば、
魅惑の水道筋ホリデーアミューズメントフルコース。
naddistでも随時告知しますので、皆様も是非お立ち寄りを。
なお、今日(本日10日)の午後もライブあります。
日時:2月10日(日) 13:00〜
場所:東畑原市場「新家」
TEL.(078)861-3232
http://www.net-kobe.com/suisui/h-hatahara.html
市バス90.92系統水道筋1もしくは3丁目下車
西灘シネマ横北へ上がり八百屋越えて古道具屋の角右入ル
水道筋一丁目商店街(灘温泉のある通り)の1本裏の市場
料金:無料(よろしければチップを)
本日の出演:甲陽音楽学院のOB、現役の皆さんによるジャズ。
============================================================
naddist発行の「花はどこへ行った」は皆様からのメールです。
お気軽に「町話」「感想」お寄せ下さい。
naddistへ、ご意見ご感想、情報メールをお送り頂く時は、
・「なだっちゅーの」(読者お便りコーナー)への転載の可否
・転載の条件(匿名希望、ハンドル名等、URL載せる事も可能です)
・現在住んでいる所(もしよろしければ)
・灘区との関わり(適当につけて下さい)
(例)元クミン:元灘区在住
現クミン:現灘区在住
(クミン=区民ではないので、他地区の方大歓迎)
等を明記して頂ければ幸いです。
------------------------------------------------------------
アンバランスなドンピシャ感は灘の真骨頂。
------------------------------------------------------------
ご意見ご感想は eken@pp.iij4u.or.jp までお願いします。
------------------------------------------------------------
naddist [Kapsel naddism] 0000009510
produced by "naddism Edit."(@parabolart)
e-mail "eken@pp.iij4u.or.jp"
------------------------------------------------------------
powered by "magmag" www.mag2.com
...020210-115
...
...naddism Edit.
■CONTENTS==================================================
・灘の細道11
宮前マジックドラゴン
・なだっちゅーの!91
▼広島で「コロッケと・・・」
▼閉店情報
▼リアルラビット+鬼の面
▼「さら灘」復活?
・naddist NEWS(naddistからのお知らせ)
「東畑原伝説の元寿司屋」新家ライブ
============================================================
前回「灘の細道」をお送りしたのは5ヶ月も前。早いものです。
てことで、今回は灘のちょいといい小道をレポートするシリーズ
「灘の細道」をお送りいたします。第11話は、灘の巨大生物の
お腹の中のような道の話です。
=================================================灘の細道 11
■宮前マジックドラゴン
TEXT:naddist
「ピノッキオ、ピノッキオ、ピノピノピノピノピノッキオ〜」
幼稚園のとき、学芸会でピノキオをやった時の疑問。
「鯨のお腹の中ってどうなってんねん?」
絵本で見るとなんかあばら骨でできた暗いトンネル。
「結構広いし、基地みたいでええやん!」
胃はないのか!それに十二支腸は!
そんなツッコミを入れる知識もない私は、この鯨の腹の中空間に
あこがれていました。
その後小学校に入り、駄菓子屋で「鯨カツ」食べつつも、給食で
「鯨肉のノルウェー風」食べつつも、須磨水族館のホールにあっ
た「シャチ骨格標本」を見つつも「鯨のお腹の中はあばら骨に囲
まれた巨大な空間」というイメージはそのままでした。
そんな私が現実の世界で「鯨のお腹の中はこんなんかもしれない」
とアタリをつけたのが、灘の町にあったアーケード。
あばら骨のようなたくさんの骨組みに支えられた屋根。交錯する
トラスに張られた皮膚のようなトタン膜。
なにより外部からアーケードに入った時のゾクゾク感。
「外部空間なのにやさしい生物体内感」を感じるのです。
もしかすると夜になるとミシミシ動き出すのではないか?とも思
えるその生物感は子供心を、いや大人心をもわくわくさせてくれ
る、巨大生物的町構造物なのです。
区画整理工事で騒がしい六甲道の北には南北に通る2本のアーケ
ードがあります。「六甲本通商店街アーケード」(注1)とその
西の「宮前商店街アーケード」(注2)
八幡神社の厄神さん(注3)の帰り「宮前商店街アーケード」をい
つものように天井を眺めながら、ぶらぶらと歩いていました。
ここのアーケードは昔ながら味のある「あばら骨むき出しタイプ」
なのです。
無骨な骨格。
のどちんこのような照明器具がブーラブラ。
小骨のようなアンドン看板がズラリ。
皮膚のようなトタン外装。
最近設計されたアーケードはこの「生物感」を隠すことで、魅力
を失っているのではないでしょうか?
「こぎれいなインテリア感」の演出にとらわれ、アーケードの魅
力の一つであるいきいきとした体内感、生物感が全く考慮されて
いないよなあ…そんな事を考えながら歩いていたら、
ふとある事に気付きました。
アーケードは細長いトンネルのような空間です。この長さは鯨の
腹というよりも…なんだろう…まてよ…
あ…そうだ、これは竜の腹の中かもしれない。
そうだこれは、竜なのだ。灘風水思想に基づく竜なのだ。
灘の町の繁栄は、この竜がいたからなのだ!
水道筋、灘センター、灘中央筋の3つのアーケードが交錯する
水道筋界隈は、さしずめ「キングギドラ状態」かもなのだ!(注4)
で、この「宮前商店街アーケード」は規模こそ小さいが、灘竜の
中の灘竜、八幡神社へ続く参道を守る、みどりの鱗の魔法の竜、
「宮前マジックドラゴン」なのだ!
昭和34年に生まれた宮前ドラゴンは、震災にも耐え今年43才。
しかし、厄神さんの終わった今年2002年1月末、ついに宮前ドラ
ゴン撤去工事が始まりました。
嗚呼!!八幡ドラゴン(注5)に続き灘のドラゴン消滅か!?
私はカメラとビデオを持って宮前商店街に向かいました。
取り壊しを眺めていた、仮設店舗のおじさんに尋ねました。
「こ、これ全部壊すんすか?」
「あんた、この辺の人か?」
「この辺といえばこの辺やけど、この辺じゃないと言えばこの
辺じゃないねんけど、この辺りは昔から…」
私の煮え切らない自己紹介が終わらない内に、おじさんは地面
に石ころで図を書きながら説明してくれました。
「アーケード壊すのは南側だけやねん。そう、そこまで。そこ
から南は太い道になるねん。ほんでこの裏に8000平米の公園
できるねん。どない思う?このアーケードかて震災後、修理した
んやで。どない思う?北半分のアーケードは取りあえず残るねん
けど、この先どうなるかわからへんねん。これで8割復興なんて
よういうわ。ここいらようさん燃えたし、店も殆ど仮設やろ……
…どない思う?」
アーケードが半分でも残るうれしさと、つらい現実の狭間。
おじさんといっしょにアーケード撤去工事をじっと見守りました。
無残にその腹を喰破られ、「みどりの鱗」が剥がされ、断末魔の
叫びをあげているかのような宮前ドラゴン。
「今日撮ってたビデオや写真また見せてなぁ」
「また持ってきます」
アーケードをむしり取られ、12mの道路になってしまう部分。
そこを散歩していた時に、もし雨が降ってきたとしても、私は傘
をささないつもりです。私の心の中には、雨が降る日も日差しが
強い日も雪の降る寒い日も、町の傘になってくれていた、あの心
やさしい、そうPPMの『パフ』(注6)のような宮前マジックドラ
ゴンが、あの場所にいつまでもいてくれるはずですから。
(おわり)
【宮前マジックドラゴン】
六甲町1丁目
JR六甲道より北西徒歩3分
注1:六甲八幡神社厄除大祭は、1/18・19
湯立ての神事が盛り上がる。
注2:六甲本通アーケード南入口
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/tani/0702.html
(震災文庫デジタルギャラリー c1995 谷通好)
注3:宮前アーケード南入口(震災後)
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/shindo/Jap/Photo/PhotoV2043.html
(震災文庫デジタルギャラリー
c1995 進藤裕之 写真/キャプション)
注4:水道筋キングギドラ状態平面図
http://www.net-kobe.com/suisui/map.html
注5:八幡ドラゴン
2号線桜口交差点近く(現パニエ東の南北の通り)にあった
八幡商店街アーケード
注6:『パフ』
歌:ピーター・ポール&マリー
作詞・作曲:P.ヤーロウ, L.リプトン
http://www.zakkyo.net/yokocho/karunia/karuniap.htm
(【笑説】カルニア国物語)
※「灘の写真を」というご意見があったので参考リンクを張って
みました。自前のHPないので…。
また区内の地図に関しては以下をご利用ください。重いですけど。
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/15/020/99/82/what/map.html
(灘区公式HP i-nadaより)
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naddistに頂いた、皆さんからのご意見ご感想や灘情報を
ご紹介する「なだっちゅーの!」を、お送りいたします。
メールを下さった皆様、ありがとうございました。
==========================================なだっちゅーの!91
●いしかわ様(元居住&学びクミン)
広島そごうの地下街を歩いていると
怪しげな看板が・・・
「コロッケと・・・」
えっ? まさかM野屋のコピーのぱくりでは?
と驚きよくよく見てみると,
なんと正真正銘M野屋さんの支店でした.
さっそくミートコロッケ65円を購入.
ひと時なつかしい灘に戻ったような気になりました.
それにしても,
遠い広島のデパ地下に支店を出すほどの店だったのですね.
おそるべしM野屋.
ひ、広島ですか!水野屋さんもいっぱい店出してますね。
一昔前のハイジさんを思い出します。
あれ?5円高くないですか?水道筋本店は60円だったような。
70円だっけ? ま、いっか。
-----------------------------------------------------nad
●うさぎ様(現クミン)
残念な事なのですが、旧「ぼくのふらいぱん」の北がわにあった洋
食やさん「エントリーブル」が1月いっぱいで閉店してしまいまし
た。ミレーなくなったあの筋は何か支えを失ってしまったんでしょ
うかね。閉店が目立ちますね。
六甲口クラブミレー周辺閉店スパイラル。そう言われれば、そ
んな感じしますね。「エントリーブル」さんの季節のカレー、
春バージョン食べずじまいでした。無念。
-----------------------------------------------------nad
●都賀川の娘様(サラブレッドクミン)
2月に入ってしまいました。
節分ですね。
今日あのホザナ幼稚園リアルラビット号に乗った園生が、
鬼のお面をつけているのをみて、
「ああ、節分かあ」と思うのと同時に、
なんちゅうシュールな乗りもんや・・・と気が遠くなりました。
リアルラビット+鬼の面ですか。卒倒もんですね。
パンダより灘っぽくてグッドです。
豆くらいまいたれや、灘ジャンキーパンダ君。
とりあえずサンナッツ提供カシューナッツあたりいっとけや。
あら、パンダのり巻きは巻いたのね、水道筋1丁目の皆さん。
でももうそろそろ、しんどいかもねえ。
やっぱ来年は「リアルラビット巻きでギネスに挑戦」でしょう。
ちなみに灘区は知られざる「豆の町」…なのだ。
-----------------------------------------------------nad
●DECO様(元・学遊飲住愛憎喜怒哀楽クミン)
アンケート拝見しました。
「さら灘」がしぶとく残っていて大変光栄です。
ありがとうございます。
今のところ、復活の予定はありませんが、
「愛と幻想のナディズム」という名の「二番煎じ」はあり得るかも
しれません。
今夜、僕は「原子心母」を子守唄に、床につくと思います。
では。
昨年惜しまれつつ終了したコラム「さらば愛しき灘よ」の作者
DECOさんから期待の持てるメールをいただきました。
どうかよろしくお願いします。ここ最近は私の拙い文章ばかり
で、皆さん飽きているかと思われます。帰ってきてね「さら灘」
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● naddist NEWS ●
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● 「東畑原伝説の元寿司屋」新家ライブレポート ●
naddist NEWSでもお知らせしておりました、市場内でストリートラ
イブ、水道筋東畑原市場の創作家庭料理の店「新家」プロデュース
「新家ライブ」がいよいよ2月3日スタートしました。
(神戸新聞2月6日の神戸版でも紹介されました)
いやはや「六甲伝説の幌馬車」「徳井伝説の猫」に続き「東畑原伝
説の元寿司屋さん」の誕生なんです。
(新家さんは元々は代々続く元お寿司屋さんなのです)
当日は扉を外し市場の通路とつながり、まるでポケットパークのよ
うな空間に。ストリートライブなので、無料。というか気に入れば
チップをという例のスタイル。
違和感は全く感じませんでした。
むしろ空間、素材とも市場本来の特性をうまく継承発展させたって
いう印象です。もともと市場の対面販売は、スーパーなどに比べ
お客さんとの距離が非常に近いのですが、その親密な距離間がアコ
ースティックのライブにもドンピシャ、新鮮な豆腐や魚がとれとれ
の生音に変わったという感じ。
いや、そんでそんでバンドも良かった!
当日の出演は「Tenderfeet(http://www.Tenderfeet.net)」のボー
カル、アコギ、ウッドベースのユニット(いつもはピアノとドラム
が入って5人)。当日メンバーの内二人が、灘が世界に誇る音楽学校、
甲陽音楽学院の学生さんです。
そんでボーカルの竹下咲さん、マイクなしで歌う歌う!
「東畑原の歌姫」いや「奄美市場のディーバ」って感じでとっても
よかったです。
日曜日の市場ショッピングの楽しみがまた一つ増えました。
早速感想も寄せられていますのでご紹介します。
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●ドクターフランキー様(北隣クミン)
最初に新家に着いたとき、「んっ、ボーカルの人のPAは?」
と心配していたが、いらぬ心配でした。ほんまもんのボーカルの神
髄を堪能しました。(歌は全身を楽器にして唄うもんだということ
を「復習」しました。)
本当の意味のunpluged liveは、あれぐらいのスペースが良いんでは
ないでしょうか。
今後も、市場ライブ、楽しみにしたいと思います。
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買い物ついでに、豆腐屋さんのソップを飲みながら、あるいはコロ
ッケかじりながら、あるいはきくらげの天プラ、いや寒ブリ噛りな
がらでもいいんですけど、アコースティックライブを聞くってのが、
とっても「灘の休日昼下がりの市場」な感じです。
その後、西灘シネマで映画見て、灘温泉入って、串かつ食べれば、
魅惑の水道筋ホリデーアミューズメントフルコース。
naddistでも随時告知しますので、皆様も是非お立ち寄りを。
なお、今日(本日10日)の午後もライブあります。
日時:2月10日(日) 13:00〜
場所:東畑原市場「新家」
TEL.(078)861-3232
http://www.net-kobe.com/suisui/h-hatahara.html
市バス90.92系統水道筋1もしくは3丁目下車
西灘シネマ横北へ上がり八百屋越えて古道具屋の角右入ル
水道筋一丁目商店街(灘温泉のある通り)の1本裏の市場
料金:無料(よろしければチップを)
本日の出演:甲陽音楽学院のOB、現役の皆さんによるジャズ。
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naddist発行の「花はどこへ行った」は皆様からのメールです。
お気軽に「町話」「感想」お寄せ下さい。
naddistへ、ご意見ご感想、情報メールをお送り頂く時は、
・「なだっちゅーの」(読者お便りコーナー)への転載の可否
・転載の条件(匿名希望、ハンドル名等、URL載せる事も可能です)
・現在住んでいる所(もしよろしければ)
・灘区との関わり(適当につけて下さい)
(例)元クミン:元灘区在住
現クミン:現灘区在住
(クミン=区民ではないので、他地区の方大歓迎)
等を明記して頂ければ幸いです。
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アンバランスなドンピシャ感は灘の真骨頂。
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ご意見ご感想は eken@pp.iij4u.or.jp までお願いします。
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