| アンジョリーノ「チーズ屋さんの気まぐれピザ」 naddist 洋食系 2010-7-10 19:43 友人に知らせる 5104 0 7.00 (投票数 2)投票する
●場所 烏帽子町2(国道2号琵琶町3交差点) ●本日の昼食 チーズ屋さんの気まぐれピザ 1280円 ●コメント 「次は河原です」。当時はまだシルバー色だった阪神国道バスの河原バス停前にぽつりと「富士映劇」というピンク映画館があった。烏帽子中学に通っていた友人はいつもこのバス停を利用していた。つまり、「バスを待つ間に涙を拭くわ」と歌ったのは平浩二だが、ここではバスを待つ間『痴漢電車極秘本番』や『痴漢電車百恵のお尻』などの看板の前に佇むことになる。でもそんなことはおかまい無し、あれは見てはいけませんだとか、行ってはいけませんなどというなど言われなくても、ストリートを縦横無尽に駆け抜けられるのが、灘の浜っ子の心意気なのだ。富士映劇がなくなってもう何年経ったのであろうか?バス停の東にはチャーミングなチーズカフェができた。「お待たせしました」目の前に石窯焼きのピザが運ばれてきた。さすがチーズ専門店らしい濃厚なピザ。しかし各種チーズが渾然一体にならず、艶っぽい味、明るい味、深い味、1枚のピザなのに食べる所によっていろんなチーズの味わいが楽しめるのが面白い。そうだ、これこそこの街のDNAなのだ。住宅街にピンク映画館がポツンとある、かつての鹿の下〜烏帽子町の味わいそのもだと思った。均一でなく、かといって人為的なモザイク模様でもない、そんなフラクタクルな様相が灘の街を面白くしてきたはずだ。カフェ風に手書き文字でレタリングされたウィンドウから国道を眺めた。何も昔を懐かしむことはない。富士映劇はまだこの街にあったのだ。 |
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| 淡路屋「肉めし」 naddist 洋食系 2010-6-22 15:03 友人に知らせる 5136 0 7.67 (投票数 3)投票する
●場所 永手町4(JR六甲道駅構内) ●本日の昼食 肉めし 1000円 ●コメント 東海道本線や山陽本線の起点駅にもかかわらず、終着駅的な雰囲気がない神戸駅、神戸の玄関口らしくない通過駅然としたJR三宮駅のたたずまい、トンネルの間に無理からに造ったような新神戸駅など、いささか高揚感に欠ける神戸の駅においては、旅情をかき立てる[淡路屋]の駅弁の存在は大きい。とりわけ70年代の「デパート駅弁大会」では「ますのすし」「いかめし」などと並び人気を博した「肉めし」は、ローストビーフライクな牛肉を敷き詰め、あか抜けない「牛飯」を神戸らしいモダンな洋風弁当へと昇華した。この弁当を決定づけるのは肉ではなくむしろ「カレー風味の黄色いライス」だ。「肉の下の黄色い飯」というビジュアルはきわめて神戸的だと思う。インドからやってきた伝説の高僧、法道仙人が摩耶山を開いたのは、山上から見える菜の花に覆われたサフランライスのような灘の大地を見て、母国インドを思い出したからだと言われている(ウソです)。灘にインド人が多いのはそんなインディアなストーリーがあるからかもしれない(ウソです)。そんなアースダイビングな駅弁が快速しか止まらない六甲道駅で買えるというのも、なにか不思議な力が働いているのではないかと勘ぐってしまう。そして淡路屋の元社長が灘クミンだということも…。灘は深い、あまりにも深すぎる。 |
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| パンダ飯店「酸辣湯麺(サンラタンメン)」 naddist 中華系 2010-6-13 15:56 友人に知らせる 6013 0 0.00 (投票数 0)投票する
●場所 水道筋5(水道筋商店街) ●本日の昼食 酸辣湯麺 800円 ●コメント 東映ピンキーバイオレンス路線から方向転換した多岐川裕美のスマッシュヒット『酸っぱい経験』という歌に「シャツのボタン2つはずしただけで、他の人の視線気にしてる」というフレーズがあった。当時はなんでシャツのボタンを2つはずすのが酸っぱいのかさっぱりわからなかったが、すっかり分かってしまうほど年を重ねてしまった。いやむしろ年を重ねすぎて酸っぱいものがこみ上げる始末だ。そして子どもの頃苦手だった酸っぱい食べ物が、食べられるようになった。いや、むしろ積極的に食べたいと思うようになった。そんなわけで時々パンダ飯店の酸辣湯麺が食べたくなる。一見キュートでファンシーな店名に油断しているとしっぺ返しを食らう。パンダという語感からは連想できない酸っぱくて辛くて熱い麺は、酸っぱい経験のない子どもには理解できまい。まさに羊の皮をかぶった狼、いやパンダの皮をかぶった酸辣湯麺。「酸っぱいお姉さん」として、我々世代には年上の女性の代名詞のような存在だった多岐川裕美も来年還暦をむかえるという、嗚呼。「生きるって本当に酸っぱくて辛くて熱いんだよな、ウンウン」などと納得しながら酸辣湯麺を食べていたら、いつのまにかシャツのボタンを2つはずしていた。
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| キッチンアイズ「カレーセットAコース」 naddist その他系 2010-6-7 13:21 友人に知らせる 5257 0 7.50 (投票数 2)投票する
●場所 中原通2(灘中央筋商店街から西へ路地入ル) ●本日の昼食 カレーセットAコース ・ひよこ豆のカレー・自家精米五分づきご飯+雑穀米・ベビーリーフと青大豆のサラダ 1200円 ●コメント まだデトックスという言葉がなかったころから水道筋にはデトックス系漢方薬局があった。霊峰摩耶山に祀られるお釈迦様の母上、摩耶夫人(ぶにん)の名を冠する[摩耶堂]もその一つだった。理科室ライクな蛍光灯と、実験器具のような容器に入った漢方薬群、棚にずらりと並んだ金蛇精など独特のパッケージデザインの商品群が日本離れした独特の風情をかもし出していた。母親に連れられて[摩耶堂]に入った時、いつも大きく深呼吸をした。店内に満ちるスパイシーな漢方の匂いを嗅ぐだけで、なにか胃や気道がスッキリするような気がした。いや、そんな薬効的なものではなく、にぎやかな市場や商店街の喧噪にやや疲れた体には、この店の空気や匂いが心地よかったのだと思う。数年前、静かな[摩耶堂]は、にぎやかな安売り青果店になった。水道筋は灘中央筋商店街から伸びる細い路地裏にある小さなカレーショップ[キッチンアイズ]の滋味あふれるデトックスカレーを食べながら、ふと摩耶堂のことを思い出した。街なかのエアポケット感と、店内に満ちるわくわくするようなスパイスの香りがそうさせるのか。毒々しい店が増えた今こそ、デトックス(毒消し)すべきは体だけでなく街かもしれない。
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| モンセルヴァン「サービス定食」 naddist 洋食系 2010-5-31 20:45 友人に知らせる 5231 0 10.00 (投票数 1)投票する
●場所 六甲山町南六甲(六甲山郵便局東) ●本日の昼食 サービス定食 ・カニクリームコロッケ・味噌汁・ライス・香の物 1050円 ●コメント 昭和初期、阪急と阪神の間で血で血を洗う仁義なき頂上決戦が繰り広げられた。小林一三率いる「阪急組」が昭和6年に一足早く土橋と六甲山上間に「六甲登山ロープウェー」を開通させ、翌昭和7年には「阪神会」が「六甲ケーブル」を開通した。いわゆる「第一次六甲抗争」はここから始まった。「六甲山上にようけあじさい咲かしちゃるけえ」と豪語した阪急組の小林であったが、不幸にも太平洋戦争時に不要不急路線に指定、その年に廃止され、「阪急のロープウェー」は幻の路線となった。時は流れ、山上でしのぎを削った阪急と阪神は今では互いに手を携える。旧ロープウェー山上駅近くには今でも当時の遺構が残る。駅近くにあるレストラン「モンセルバン」は阪急組にも阪神会にも属さない独立系の店。「絶景」という極上のメインディッシュが楽しめる六甲山上でも一、二の展望を誇るレストランだ。南側のパノラミックな窓からは当時の阪急ロープウェーの路線跡が一望できる。六甲山はハイカラなコロッケが似合う。自慢のカニクリームコロッケを頬張りながら眼下に目をやってみた。目の覚めるような鮮やかな樹海の上をすべるように登ってくる阪急ロープウェーが見えたような気がした。[新緑や兵(つわもの)どもが夢のあと] |
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